研究課題/領域番号 |
23591779
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山下 康行 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (60220349)
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研究分担者 |
白石 慎哉 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (50433008)
吉田 守克 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (20508494)
河中 功一 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (60398188)
坂本 史 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10551252)
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キーワード | 生体肝移植 / 肝予備能評価 / アシアロシンチグラフィー / マルチスライスCT / SPECT / SPECT/CT / 肝切除 / GSA |
研究概要 |
生体肝移植ではドナーより摘出した肝臓が十分機能せず、術後の移植肝が機能不全に陥ることがある。一方肝腫瘍の肝切除においては多くの場合、非癌部にも障害を伴っていることが多く、非癌部をいかに温存するかということが重要である。このように、肝機能の評価には肝臓全体を評価する通常の肝機能検査のみならず、局所の肝細胞の機能を評価し、残存肝で十分に機能を果たすことが可能かを予測出来ることが望ましい。これまではCTを用いた体積測定と肝機能評価は別々に行われてきた。 生体肝移植における肝切除や肝臓癌に対する外科的肝切除においてマルチスライスCTとSPECTによる機能―形態融合画像を実際の臨床例で症例集積をおこない、肝臓の体積及び局所肝機能を評価をおこなった。このデータをもとに安全な肝切除を行う指標を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度にSPECT/CT combined systemを用いたアシアロシンチグラフィーとCTの融合画像から算出した摂取率を用いた局所肝機能評価について論文、著書に報告した。25年度も引き続き症例収集ならびに画像における計測を行い、より高い精度で肝機能評価が行う事のできる方法を検討する。 1. 対象 生体肝移植のドナー及び肝細胞癌の患者において、肝切除が予定されている患者で、アシアロシンチグラフィーとCTの融合画像を作成した。23年度から24年度までで生体肝移植および切除症例300例に対して施行した。 2. 使用装置 同室に設置した8列のMDCT (Light-Speed Ultra, GE, Milwaukee, WI)と天井走行型ガンマカメラ(Skylight, ADAC Laboratories, Milpitas, CA)であるSPECT/CT combined systemを使用した。このシステムでは、SPECTとCTが同一寝台で撮像できるため、位置情報のずれが少なく、精度の高い融合画像作成が可能であった。 3. データ収集法 肝切除あるいはIVR治療を行う患者において従来のアシアロシンチグラフィー同様、治療開始直前に正中肘静脈に22Gの留置針にて血管確保の後にGSA 3mg / 5mCiを投与し、撮像はGSAの肝への集積のピークの20分から胆道に排出が開始する30分の間に行った。 4. 摂取率の測定 画像再構成法の検証で得られた情報から、放射能量とカウント値とのクロスキャリブレーションが可能であり、変換係数Kを算出した。それにより、SPECT画像より得られたカウント値を放射能量に変換し、全肝摂取率および局所肝摂取率を算出した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年においては24年度までに行った画像データの解析、融合画像作成を行う。同時に定量的方法の検討を開始する。また臨床例の収集は前年度に引き続き、継続する。 1. 画像解析並びに融合画像作成画像処理として再構成したCT像を、DICOMデータとしSPECT処理用のワークステーションに転送し、CT像とSPECT像を作成する。融合画像作成用のCT画像を使用し、ワークステーション上で肝の体積を測定し、以前に報告した方法で肝臓のCT-volumetryを行う。また肝に集積したRI量を用い、全肝および局所体積を算出し、単位体積当りの摂取率を算出する。その後、切除後の肝臓の残存肝機能を予測する。 2. 画像解析機器 ワークステーション:AZE社 VP Lexusならびに富士フイルムメディカルのVincentを使用する。処理の具体的な方法については標準のソフトウェアを用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の学会での研究発表により旅費や論文投稿のための費用、データ解析用のコンピュータおよびソフトの購入を計画している。
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