研究課題/領域番号 |
23591789
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
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研究分担者 |
寺山 靖夫 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70146596)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | MRI / 血管壁 / 頭蓋内動脈 / 動脈硬化 / 動脈解離 |
研究概要 |
1. 独自に開発した3次元血管壁イメージング法(flow-sensitized T1-weighted variable flip-angle 3D fast spin-echo)を用いた頭蓋内血管壁の信号強度の定量評価法を考案した。本成果によって、動脈硬化性プラークや動脈解離の客観的質的診断が可能となった。2. 非心原性急性期脳梗塞患者18名を対象に、1.5T MRIによる3次元血管壁イメージングおよびMR血管造影(MRA)を撮像した。MRAでは1例のみで梗塞の責任血管に有意狭窄を認めたが、血管壁イメージングでは17例においてプラークと考えられる三日月型・全周性の壁肥厚を認めた。責任血管のプラークは、対照血管のプラークと比較して有意に高信号を呈しており、脆弱プラーク(脂質・出血主体)を示唆していると考えられた。本成果によって、アテローム血栓性梗塞や分枝粥腫型梗塞の責任病変の直接評価が可能であることが明らかとなるとともに、高信号を呈する脆弱プラークが脳卒中イベントの危険因子となりうることが示唆された。3. 急性期脳動脈解離疑い患者6名を対象に、1.5T MRIによる3次元血管壁イメージング、MRA, 造影3D-gradient echo, basiparallel anatomical scanを経時的に撮像した。3次元血管壁イメージングは他の撮像法に比し解離の存在および範囲を正確に特定することが可能であった。解離腔(壁内血腫)の信号は発症2日以内は中等度信号、3日以降は高信号を呈する傾向にあった。本成果によって、本手法が脳動脈解離の診断法および経過観察法として有望であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 企業と共同開発した独自の3次元血管壁イメージング用シークエンス(1.5 Tesla MRI用)が、企業(米国本社)の共同研究契約方針の変更に伴い、平成23年10月から平成24年3月まで使用不能となった。2. 東日本大震災の影響で、3 Tesla MRIがに故障し復旧不可能となり、7 Tesla MRIの運用にも支障をきたしたため、3次元血管壁イメージング用シークエンスの移植・最適化が困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
1. 初年度の成果をまとめた英文論文を速やかに完成させ、国際雑誌に投稿する。2. 企業との契約更新が3月末に終了し、付属病院の新3 Tesla MRI装置が5月より稼働を開始するため、速やかに専用シークエンスを移植・最適化するとともに、非心原性急性期脳梗塞患者のMRI撮像を開始する。3. 7 Tesla MRIの順調稼働が可能となったため、3 Teslaで最適化した専用シークエンスをさらに改良・最適化したものを移植するとともに、非心原性急性期脳梗塞患者のMRI撮像を開始する。4. 患者撮像および画像解析を迅速に進めるため、新たに若手医師、若手医用工学研究者を研究協力者に加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 新たに加わる研究協力者の使用するデータ整理・画像処理用コンピュータおよびソフトウエアを購入する。2. 論文の英文校閲代として使用する。3. 国内学会発表の旅費として使用する。
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