研究課題/領域番号 |
23591789
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 真理 岩手医科大学, 医学部, 教授 (80205864)
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研究分担者 |
寺山 靖夫 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70146596)
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キーワード | MRI / 血管壁 / 頭蓋内動脈 / 動脈硬化 / 動脈解離 |
研究概要 |
1. 独自に開発したT1強調3次元撮像法を用い、中大脳動脈領域の非心原性急性期脳梗塞患者22名を対象に、1.5T MRIによる3次元血管壁イメージングおよびMR血管造影(MRA)を撮像した。MRAでは1例のみで責任血管に有意狭窄を認めたが、血管壁イメージングでは21例においてプラークと考えられる三日月型・全周性の壁肥厚を認めた。プラーク信号の白質信号に対するコントラスト比は、責任血管(中央値50.0%)においては、健側血管のプラーク(中央値44.9%)と比較して有意に高信号を呈しており(P=0.02, Wilcoxon test)、脆弱プラーク(脂質・出血主体)を示唆していると考えられた。一方で、プラーク形状やMRAの狭窄率には左右差を認めなかった。本成果によって、アテローム血栓性梗塞や分枝粥腫型梗塞の責任病変となりうる頭蓋内動脈硬化性病変の質的診断が脳卒中イベントの予測に有望であることが示唆された。 2. 急性期脳動脈解離疑い患者12名を対象に、1.5T MRIによる3次元血管壁イメージング、および従来の推奨撮像法(MRA, BPAS, 造影3D-T1強調画像)を経時的に撮像した。3次元血管壁イメージングは従来の撮像法に比し解離の存在診断・質的診断を正確かつ短時間に行うことが可能であった。さらに、壁内血腫の信号変化を検出することも可能であった。本成果によって、本手法が脳動脈解離の診断法・経過観察法として有効であることが明らかになった。 3. 上記で用いた3次元血管壁イメージング撮像法を3 Tesla装置に移植し、最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.共同開発先の企業(米国本社)の研究契約方針変更に伴い独自の3次元血管壁イメージング用シークエンスが使用不能となっていたが、契約更新が無事終了し、平成24年5月から使用が可能となった。 2.対象患者のMRI検査を追加施行して対象者数をさらに増やし、脳梗塞に関する英文論文を作成して国際雑誌に投稿した。 3.東日本大震災の影響で稼働不能となった研究用3 Tesla MRI装置に代わり、附属病院に臨床用3 Tesla装置が稼働を開始したため、3次元血管壁イメージング用シークエンスの移植および最適化を行った。7 Tesla MRIへの移植も試みたが、装置のバージョンアップが必要であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
1. 脳動脈解離の成果をまとめた英文論文を速やかに完成させ、国際雑誌に投稿する。 2.付属病院の新3 Tesla MRI装置による非心原性急性期脳梗塞患者のMRI撮像を開始する。 3. 7 Tesla MRIのRF送信系のバージョンアップが進行しており、調整後速やかに3 Teslaで最適化した専用シークエンスをさらに改良・最適化したものを移植するとともに、非心原性急性期脳梗塞患者のMRI撮像を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 画像データ・解析データの整理・保存用HDDおよびデータ処理用ソフトウエアを購入する。 2. 論文の英文校閲代として使用する。 3. 国内学会発表の旅費として使用する。
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