研究課題/領域番号 |
23591793
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
坂本 攝 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40344402)
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研究分担者 |
楫 靖 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10273947)
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キーワード | 前立腺癌 / 画像診断 / ポジトロン断層撮像 / [18F]コリン / MRI |
研究概要 |
[18F]コリン-の合成に関して、薬剤部柴田氏・榎原氏らの合成条件の調整の努力により薬剤の品質、収量安定の両面で昨年度に引き続き順調に行えている。本年度も薬剤供給が原因で検査が施行できなかった例は発生していない。 獨協医科大学病院泌尿器科を受診し、前立腺癌あるいはその疑いがあり、手術療法、放射線治療やホルモン療法、化学療法(併用を含む)開始前の患者計27名に[18F]コリン-PETを実施した。前立腺癌治療後の再発診断目的でも1件実施し、合計28件の[18F]コリン-PETを施行した。 骨転移・リンパ節転移など遠隔転移に関して概ね良好な成績であろうという印象を強くしている。ただし、前立腺癌の局所の評価に関して、想定していたよりも前立腺全摘を施行された患者は少なく、また前立腺全摘されていても手術前にホルモン療法などが実施され、全摘標本上、原発巣を指摘できないほど奏功する場合もある。このため[18F]コリン-PETとMRIによる局所診断モダリティ対比が容易でないことが経験され、前立腺生検結果との対比を行っている。 また症例をより多く経験するにつれて前立腺組織へ軽度のびまん性集積を呈する例も少なからず経験され、症例によってはびまん性ないし地図状の集積が目立つ場合もある印象である。 いまだ経過が短い方では臨床的に経過を観察されている方が多く、前立腺癌再発を疑われる患者が予想以上に少ない。前立腺癌は予後が良好であることも原因と考えられるが、PSAが低い時点で受診される方が多いことも影響している可能性がある。再発診断目的で2回目の[18F]コリン-PET/CTを行われる方が少なく、このままでは再発診断における有用性は検討しがたい。治療開始前に[18F]コリン-PET/CTを行っていない方でも、再発が疑われるが、その部位は不明である患者も対象とすることを考慮する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前立腺癌原発巣の診断能に関して、想定していたよりも前立腺全摘を施行された患者が少なく、また前立腺全摘されていても手術前にホルモン療法などが実施されていると、全摘標本上、原発巣を指摘できないほど奏功する場合もあるのが理由である。このため、[18F]コリン-PETとMRIによる局所診断モダリティ対比が容易でないことが経験され、前立腺生検結果との対比を行っているので、時間が要している。 再発診断に関して、再発を疑われる患者が予想以上に少ないためもある。前立腺癌は予後が良好であることも原因と考えられるが、PSAが著明な高値でない時点で受診される方が多いことも影響している可能性がある。患者にとっては幸いなことであるが、再発診断目的で2回目の[18F]コリン-PET/CTが行われる方が少ない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究参加者の募集と参加に同意が得られた前立腺癌疑い患者に[18F]コリン-PET/CTを行う。診療の流れの中で[18F]コリン-PET検査を行うとともに、2回目,3回目のPETを行い引き続きMRIなど他の検査所見と合わせて臨床上活用しつつ、泌尿器科にて患者の診療を行う。この治療前の患者の検査もある程度施行するが、このままでは上記の理由で再発を疑われる患者が予想以上に少なく、再発診断における有用性は検討しがたい。治療開始前に[18F]コリン-PET/CTを行っていない方でも、再発が疑われるものの、その部位が不明である患者も対象とすることを考慮する。初発時診断、再発診断に関して学会発表および論文作成する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
[18F]コリン-PET/CT実施における薬剤合成において必要な18O-水や試薬、チューブやフィルタなど消耗品の購入に充てるとともに、学会発表のため旅費、論文化する際の校正などに充てる予定である。
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