最終年度(平成25年度)の研究実績: 臨床試験(平成24年度で試行)から得られた画像データをもとに5名の医師に依頼して観察者実験を行い、receiver operative characteristic curve (ROC) 解析から胸部ディジタルトモシンセシス像に混入する特異的なRippleを低減させる処理(以下、Ripple低減処理)の臨床的有用性の検証を行った。ROC解析の結果、病変検出能はRipple低減処理を適用したディジタルトモシンセシス像が単純撮影像と比較して有意に向上したことを確認した(p<.0001)。Ripple低減処理を適用したディジタルトモシンセシス像の検出感度は87.7%、特異度は78.3%、病変検出精度は83.1%であり、単純撮影像の病変検出感度は53.8%、特異度は78.4%、病変検出精度は66.1%であった。以上の結果から、病変検出能、病変検出感度、病変検出精度はRipple低減処理を適用したディジタルトモシンセシス像が優れていると結論付けした。 研究期間全体の研究実績: 胸部ディジタルトモシンセシス像に混入する特異的なRippleを低減させる処理(Ripple低減処理)の開発を行い、Ripple低減処理の有用性を検証するために胸部ファントムを使用した基礎実験評価と臨床評価を行った。基礎評価と臨床評価から単純撮影像と比較して病変検出能、病変検出感度、特異度を有意に向上させることが可能になった。考察として、1) 臨床評価に使用した病変サイズのほとんどが8mm以上であったため、8mm以下の微細病変サイズを対象とした検証が望まれる、2) 観察者実験に使用した総試料数が74であり、試料数を更に多く設定した臨床試験による検証が望まれる。
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