研究概要 |
平成25年度は糖尿病コントロール(DMc) 10例、糖尿病性心筋症(DMCM)4例に対する検査を実施。全対象例DMc12例、DMCM5例について登録し、プロトコールに従い、アンモニアPET、心臓MRI検査を実施し解析を行った。 [対象] 糖尿病治療中(30-70歳)で、スクリーニングの心機能検査でLVEF<45%で冠動脈疾患を否定され、DMCMと診断された5例(57±12歳)、LVEF>50%以上の正常心機能例のDMc12例(58±10歳)を対象とした。[方法]アデノシン負荷、安静時アンモニアPETを施行し、負荷時心筋血流(sMBF),安静時血流(rMBF),血流予備能 (sMBF/rMBF=MFR)を測定した。また、心臓MRIからEDV, ESV,LVEFを測定、造影による遅延造影像(LGE)の有無を検証した。[結果]2群間にBMI, 糖尿病合併症数、糖尿病罹患年数、空腹時血糖値、LDL, HDL, TG, eGFR, 高血圧合併率、高脂血症合併率に有意差を認めなかったが、HbA1cはDMc群でむしろ高値であった(6.88±0.72 vs. 8.90±4.41%; p=0.009)。MRIで測定されたDMCMのEDV, ESVはいずれもDMcに比べ有意に大、LVEFは有意に低値であった。LGEはDMCMで高率に認められた。sMBF、MFRは2群間で差を認めなかった(sMBF:2.54±0.50 vs. 2.20±0.77; rMBF: 0.86±0.16 vs. 0.87±0.17; MFR: 3.07±0.80 vs. 2.66±1.04)。MFRは心機能との相関は無く、年齢と逆相関を示した(p=0.02)。 [結論]少数例の検討であるが、DMCMの原因として左室心筋血流量や血流予備能の関与は認められなかった。
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