研究課題/領域番号 |
23591799
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
五味 達哉 東邦大学, 医学部, 准教授 (90266966)
|
研究分担者 |
村田 望 東邦大学, 医学部, 助教 (90516270)
長基 雅司 東邦大学, 医学部, 講師 (10172561)
甲田 英一 東邦大学, 医学部, 教授 (80101989) [辞退]
常喜 信彦 東邦大学, 医学部, 准教授 (40349882)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 造影剤腎症 / 腎機能障害 / N-gal |
研究実績の概要 |
造影剤腎症の危険因子には,71歳以上や短期間での複数回の造影剤投与があることが知られている.しかし,入院患者や手術後の患者では,危険因子に関係なく造影CTが施行されることが多い.また手術後の患者では様々な薬剤が投与されるため,造影剤投与後3日以内のクレアチニン値の測定では造影剤腎症の原因の特定は難しいと考えられる.このため今回は年齢,検査前の造影剤投与および手術の有無に関係なく造影剤投与直前および4時間後にNeutorophil gelatinase-associated lipocalin(N-gal)を,48時間後にクレアチニン値を測定し,造影剤腎症の発症の有無およびN-galとクレアチニン値の関連に関して検討した.結果として,クレアチニン値の測定から10%に造影剤腎症がみられた.しかしいずれの症例でもN-galの上昇はみられなかった.今回の研究ではクレアチニン値とN-galの変動に関する対比を行ったが,危険因子の有無に関わらずクレアチニン値とN-galでは少数例ではあるが相違がみられた.このためクレアチニン値だけでは造影剤腎症を過大評価している可能性が示唆された. 造影剤腎症に関する検討では入院患者に比べ外来患者に関する検討が難しい.これは外来患者では当日の状態の把握が難しいからである.造影CT直前に血算,生化学およびN-galの測定を行った検討では脱水はみられなかった.また造影剤投与直前のN-galの値と腎機能に関連は見られなかったが,N-galが高値の症例は悪性腫瘍症例であった. 造影剤を使用するにあたり,造影剤腎症を防ぐことは必須である.このため造影CT前には造影剤腎症の危険因子の把握が重要である.しかし造影剤腎症を懸念するあまり,本来必要であった造影CTが施行されない事態は避けなければならない.このため危険因子を含め更なる検討が必要であると考えられた.
|