研究課題/領域番号 |
23591800
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
村上 隆介 日本医科大学, 医学部, 講師 (30267215)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 乳癌 / マンモグラフィ / デュアルエネルギー / サブトラクション |
研究概要 |
デュアルエネルギーサブトラクション法とは2つの異なるエネルギースペクトルを有するX線で撮影を行い、得られた画像を加算減算することで、減弱係数の異なる物質(乳腺組織および脂肪組織)をそれぞれ画像化する画像技術である。本研究では新しいデュアルエネルギーサブトラクション・マンモグラフィの臨床応用に向けての基礎研究を目的としている。本年度は研究の準備段階として、X線平面検出器(FPD)搭載乳房X線撮影装置およびエネルギーサブトラクション画像を作成する画像処理装置のアップグレードを行った。それにより高低2種類のエネルギーを有するX線を0.2秒間に2回曝射する撮像が可能となり、通常のマンモグラフィ画像に加えて脂肪組織を強調した画像を作成するシステムを構築した。まず、ファントム実験としてRMI-156ファントムを用い、撮像条件の設定を行った。適応被写体厚を求めるためにアクリルファントム2~8cmを検出器面に配置し、撮影線量のコントロールは、各々の条件下でのAECを使用した場合の平均乳腺線量(AGD)を一定として、mAs値を決定した。ファントムを低電圧側(25、27、30kV)、高電圧側(40、42、44、46、48kV)を15種類の組み合わせで撮影し、得られた画像を画像処理装置に速やかに転送し、それぞれ低―高電圧の組み合わせでサブトラクション画像を作成した。作成画像は5M白黒高精細モニターに表示した。以上より、画質特性・撮影線量26~32keVと45~49keVの設定および関係性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の準備段階として、X線平面検出器(FPD)搭載乳房X線撮影装置およびエネルギーサブトラクション画像を作成する画像処理装置のアップグレードをしたことにより、高低2種類のエネルギーを有するX線を0.2秒間に2回曝射する撮像、通常のマンモグラフィ画像に加えて脂肪組織を強調した画像を作成するシステムを構築出来たことで今後のファントム実験と視覚評価の研究の遂行も充分に行うことが可能となった、
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今後の研究の推進方策 |
・CD-MAMファントムを用いて視覚評価を行う。撮影条件は、AOP-mode (STD)における平均乳腺線量を基準とし、管電圧を変化させたの画像を比較評価する。観察実験モニターは、専用の高輝度・高精細液晶ディスプレイを使用し、高精細グラフィックス仕様高速演算装置を用いて統計評価を行う。具体的には、前述の15通りの組み合わせで撮影されたファントム画像を(1)標準画像のみ、(2)サブトラクション画像のみ、(3)標準画像+サブトラクション画像について連続確信度法を用いて観察評価を行う。結果は画像診断能を評価するための最良解析法である受動者動作特性(ROC)解析を行ない、検証する。・模擬乳癌ファントム(作成)を撮影し、サブトラクション画像の視覚評価を行う。このファントムは実際の乳癌に合わせて模擬腫瘤、石灰化、繊維組織を有している。前述のように(1)標準画像のみ、(2)サブトラクション画像のみ、(3)標準画像+サブトラクション画像について連続確信度法を用いて観察評価、ROC解析を行なう。画像解像度、画像粒状性、画像コントラストの評価も併せて詳細な検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
病変を含む模擬乳房ファントムを作成するための費用とデータの解析のための記録用媒体などの費用を消耗品として計上した。
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