研究課題/領域番号 |
23591802
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
片渕 哲朗 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (00393231)
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研究分担者 |
原 武史 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283285)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 核医学 / ステレオ撮像 / 立体視 / ガンマカメラ |
研究概要 |
ガンマカメラを用いた核医学検査は,比較的簡便に生体の機能を画像化することが可能であり,転移病巣の検索,心筋機能のイメージングなど幅広く用いられている.本研究の目的は,機能的(仮想的)にガンマカメラの視点を変えて撮像するマルチカメラシステムを考案し,これまでの撮像で問題であった画像の「解像度」と「奥行き情報」を改善することである.そして,ダイナミックに画像を収集し,その定量解析を行う手法を開発し,病気の状態の判断のみならず病気の超早期の診断・発見,予測にもつながる新しい撮像技術について研究を行う. 今回用いたファントムはリング型(直径 12.5cm;深さ 4mm;幅 1cm)とクロス型(6×6cm;深さ 5mm;幅 1cm)のアクリル素材を用いて作成した.このファントムに同一放射能濃度のTc-99mそれぞれ9cc,5.5ccを流し込んだ.そして,外側にリング型を配置し,その内側にクロス型を設置した.クロス型は1mm間隔で動かし,それぞれの位置で正面像とRAO15°の二枚撮像し,ステレオ像を作成した後観察した. その結果,クロス(対象物) がリング(非対象物) よりも検出器に近い場合,より立体視しやすくなった.これは対象物が検出器に近づくことにより分解能が向上し,非対象物よりも鮮明になったため,より立体認識できたものと考えられた.そして,対象物・非対象物の差が1mm以上であれば,対象物を立体として認識できた.この理由として考えられるのは,検出器の角度を実際の人間の眼の角度以上に広くしたことである.検出器の角度を10°に設定すると,最も自然に近い距離感で立体視することができるが,今回は15°にしたため,実像の1mmよりも,立体像のファントム間の距離が大きくなり,認識できたものと考えられる.以上より,実際の臨床例においても,対象物に1mmの差があれば認識できるものと示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・仮想マルチカメラ(最初は2点)による撮像を行い,ステレオマッチングによる距離復元を行った・プラスティックに封入した放射性薬剤のファントムを利用して,様々な回転角度(θ)と回転半径(r)において多点撮像を行い,ステレオ撮像が可能な撮像条件を明らかにし,Marr のパラダイムに基づく立体照合から距離画像を作成した.・ 左右画像における対象の照合戦略においては,カウント数と周辺ノイズを特徴とする解析を行った.・超解像技術の技術要件については実験の準備段階であった.
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今後の研究の推進方策 |
・ 次の2つの実験をステレオ画像/通常平面画像の両者について行い,ステレオ画像の優位性を証明する.また,読影環境を明らかにすることで,シンチグラムの立体視の条件を普遍化する.実験1:2枚の画像を提示し距離の大きい方/小さい方を回答する2AFC法により,距離の弁別能を測定する.また,ファントム画像を用いて相対的な距離弁別能を測る.実験2:複数の画像を距離と同時に提示して距離感を十分に学習したのち,1枚の画像を提示しその距離の絶対値を回答する実験を行い,絶対的な距離識別能を測る.特に,臨床条件に近い,散乱体を付加したときの場合も検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品 GPUワークステーション,読影用モニター旅費 海外発表(SNM)国内発表(2回)
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