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2012 年度 実施状況報告書

マルチカメラシンチグラムにおける集積部位の距離計測と高解像度撮像法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23591802
研究機関岐阜医療科学大学

研究代表者

片渕 哲朗  岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (00393231)

研究分担者 原 武史  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283285)
キーワード核医学 / ガンマカメラ / 立体視 / 画像認識
研究概要

ガンマカメラを用いた核医学検査は,比較的簡便に生体の機能を画像化することが可能であり,転移病巣の検索,心筋機能のイメージングなど幅広く用いられている.本研究の目的は,機能的(仮想的)にガンマカメラの視点を変えて撮像するマルチカメラシステム
を考案し,これまでの撮像で問題であった画像の「解像度」と「奥行き情報」を改善することである.そして,ダイナミックに画像を収集し,その定量解析を行う手法を開発し,病気の状態の判断のみならず病気の超早期の診断・発見,予測にもつながる新しい撮像技術について研究を行う.
今回の研究で用いたファントムは前回と同様のリング型(直径 12.5cm;深さ 4mm;幅 1cm)とクロス型(6×6cm;深さ 5mm;幅 1cm)の両者を使用した.このファントムに同一放射能濃度のTc-99mそれぞれ9cc,5.5ccを流し込み,外側にリング型を,内側にクロス型を配置した.そして,クロス型を1mm間隔で動かし,それぞれの位置で正面像とRAO15°の二枚撮像して,ステレオ像を作成した.今年度はこれに加えて,人間に近い散乱体を付加して撮像したときに、どの程度認識できるかを調べた.
前回の結果は対象物・非対象物の差が1mm以上であれば,対象物を立体として認識できていた.今回の実験では50mm前後の差がなければ80%は認識できなかった.これは散乱体の挿入により撮像距離が延長され,分解能が低下したことが原因だと考えられる.つまり,散乱体や撮像距離の影響がかなり大きいということが示唆された。これらの解決策として、散乱補正や減弱補正によって,認識率が向上するものと推察できる.そのため,現在臨床使用されている各種補正を行った上で,認識率を検討する必要があった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

仮想マルチカメラ(最初は2点)による撮像を行い,ステレオマッチングによる距離復元を行っており,核医学における臨床応用に向けた研究である.ステレオ撮像が可能な撮像条件を明らかにし,Marr のパラダイムに基づく立体照合から距離画像を作成した.
人体を想定したγ線の吸収係数に近い散乱体を再現して,ファントムを撮像することによって,より実際の検査に近い画像が得られる.この実験を行うことで,装置の持っている解像度(認識率)を向上させることが可能と考えられ,今回の実験よりその可能性が示されたのは大きい.以上より,本研究は概ね順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

今後の研究として,散乱体を付加した状態で「散乱補正」「吸収補正」「分解能補正」を実施できる条件で再度収集・処理を行う.これにより,立体視によって相対的な認識率が従来よりどの程度向上するかを測定する.
以上の実験をふまえて,対象被験者に本研究の内容を理解してもらった上で,実際の骨シンチグラフィ検査において,本研究で開発したステレオ撮像を実施する.そして,得られた画像より臨床評価を行い,本研究の有用性を検討する.

次年度の研究費の使用計画

物品 放射性医薬品,読影用モニター
旅費 海外発表(SNM)国内発表(2回)

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 新しい輝尽性蛍光板を用いた位相イメージングによるエッジ強調効果の評価2012

    • 著者名/発表者名
      松尾 悟,杜下淳次,片渕哲朗,藤田広志
    • 雑誌名

      日本放射線技術学会雑誌

      巻: 68 ページ: 563-572

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ディジタル位相コントラストイメージングにおける拡大率とサンプリングピッチの検討2012

    • 著者名/発表者名
      松尾 悟,片渕哲朗,杜下淳次,藤田広志
    • 雑誌名

      医用画像情報学会雑誌

      巻: 29 ページ: 12-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 体幹部FDG-PET画像の解剖学的自動位置合わせ手法精度評価2012

    • 著者名/発表者名
      清水勇介,鈴木祈史,小林龍徳,原 武史,周 向 栄,伊藤 哲,汲田伸一郎,石原圭一,片渕哲朗, 藤田広志
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術報告

      巻: 111 ページ: 7-10

  • [雑誌論文] 二肢強制選択法によるステレオシンチグラムにおける集積位置の距離弁別能の測定2012

    • 著者名/発表者名
      原 武史,山崎雄章,片渕哲朗,小林龍徳,松迫正樹,村松千左子,周 向栄,藤田広志
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術報告

      巻: 112 ページ: 55-58

  • [学会発表] 核医学検査-ガンマカメラシステム-2013

    • 著者名/発表者名
      片渕哲朗
    • 学会等名
      日本放射線技師会基礎技術講習会
    • 発表場所
      岐阜市
    • 年月日
      20130127-20130127
    • 招待講演
  • [学会発表] 核医学画像における ステレオ撮像の有用性2012

    • 著者名/発表者名
      石原匡彦,若原彩加,多湖博史,浅野隆彦,原 武史,片渕哲朗
    • 学会等名
      日本核医学技術学会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      20121011-20121013
  • [学会発表] Patlak Plot法における再現性の検討-新しい解析ソフトを用いた臨床的評価-2012

    • 著者名/発表者名
      多湖博史,石原匡彦,原 武史,片渕哲朗
    • 学会等名
      日本核医学技術学会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      20121011-20121013
  • [学会発表] 核医学検査におけるコンピュータ支援診断-心筋SPECT-2012

    • 著者名/発表者名
      片渕哲朗
    • 学会等名
      日本核医学技術学会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      20121011-20121013
    • 招待講演
  • [学会発表] 核医学における内部成長のプロセス2012

    • 著者名/発表者名
      片渕哲朗
    • 学会等名
      日本放射線技師会学術大会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20120928-20120930
    • 招待講演
  • [学会発表] 心筋SPECTにおける 標準化へのアプローチ2012

    • 著者名/発表者名
      片渕哲朗
    • 学会等名
      日本核医学技術学会九州地方会学術大会
    • 発表場所
      鹿児島市
    • 年月日
      20120707-20120707
    • 招待講演
  • [学会発表] Automated tracking system of abnormal spots on FDG-PET images for cancer treatments.2012

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Hara, Tetsuro Katafuchi, Satoshi Ito, Yusuke Shimizu, Xiangrong Zhou, Hiroshi Fujita
    • 学会等名
      Society of Nuclear Medicine 2012
    • 発表場所
      アメリカ合衆国・マイアミビーチ市
    • 年月日
      20120609-20120613
  • [図書] 実践 医用画像解析ハンドブック2012

    • 著者名/発表者名
      藤田広志,石田隆行,桂川茂彦(監修) 片渕哲朗(分担執筆)
    • 総ページ数
      898
    • 出版者
      オーム社
  • [産業財産権] 放射性医薬品の異常集積の検出2012

    • 発明者名
      原 武史, 片渕 哲 朗, 藤田 廣志, 西 川 和宏
    • 権利者名
      原 武史, 片渕 哲 朗, 藤田 廣志, 西 川 和宏
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2012-171926
    • 出願年月日
      2012-08-02

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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