研究課題/領域番号 |
23591802
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
片渕 哲朗 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (00393231)
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研究分担者 |
原 武史 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283285)
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キーワード | 核医学 / ガンマカメラ / 立体視 / 画像認識 |
研究概要 |
ガンマカメラを用いた核医学検査は,比較的簡便に生体の機能を画像化することが可能であり,転移病巣の検索,心筋機能のイメージングなど幅広く用いられている.本研究の目的は,機能的(仮想的)にガンマカメラの視点を変えて撮像するマルチカメラシステム を考案し,これまでの撮像で問題であった画像の「解像度」と「奥行き情報」を改善することである.そして,ダイナミックに画像を収集し,その定量解析を行う手法を開発し,病気の状態の判断のみならず病気の超早期の診断・発見,予測にもつながる新しい撮像技術について研究を行う. 今回の研究で用いたファントムは前回と同様のリング型(直径 12.5cm;深さ 4mm;幅 1cm)とクロス型(6×6cm;深さ 5mm;幅 1cm)の両者を使用した.このファントムに同一放射能濃度のTc-99mそれぞれ9cc,5.5ccを流し込み,外側にリング型を,内側にクロス型を配置した.そして,クロス型を1mm間隔で動かし,それぞれの位置で正面像とRAO15°の二枚撮像して,ステレオ像を作成した.今年度はこれに加えて,人間に近い散乱体を付加して撮像したときに、どの程度認識できるかを調べた. 前回の結果は対象物・非対象物の差が1mm以上であれば,対象物を立体として認識できていた.今回の実験では50mm前後の差がなければ80%は認識できなかった.これは散乱体の挿入により撮像距離が延長され,分解能が低下したことが原因だと考えられる.つまり,散乱体や撮像距離の影響がかなり大きいということが示唆された。これらの解決策として、散乱補正や減弱補正によって,認識率が向上するものと推察できる.そのため,現在臨床使用されている各種補正を行った上で,認識率を検討する必要があった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮想マルチカメラ(最初は2点)による撮像を行い,ステレオマッチングによる距離復元を行っており,核医学における臨床応用に向けた研究である.ステレオ撮像が可能な撮像条件を明らかにし,Marr のパラダイムに基づく立体照合から距離画像を作成した. 人体を想定したγ線の吸収係数に近い散乱体を再現して,ファントムを撮像することによって,より実際の検査に近い画像が得られる.この実験を行うことで,装置の持っている解像度(認識率)を向上させることが可能と考えられ,今回の実験よりその可能性が示されたのは大きい.以上より,本研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として,散乱体を付加した状態で「散乱補正」「吸収補正」「分解能補正」を実施できる条件で再度収集・処理を行う.これにより,立体視によって相対的な認識率が従来よりどの程度向上するかを測定する. 以上の実験をふまえて,対象被験者に本研究の内容を理解してもらった上で,実際の骨シンチグラフィ検査において,本研究で開発したステレオ撮像を実施する.そして,得られた画像より臨床評価を行い,本研究の有用性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品 放射性医薬品,読影用モニター 旅費 海外発表(SNM)国内発表(2回)
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