研究課題/領域番号 |
23591807
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
石橋 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (20168256)
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研究分担者 |
甲斐田 勇人 久留米大学, 医学部, 助教 (40299425)
倉田 精二 久留米大学, 医学部, 助教 (80268888)
早渕 尚文 久留米大学, 医学部, 教授 (20108731)
藤井 輝彦 久留米大学, 医学部, 准教授 (50199288)
鹿毛 政義 久留米大学, 大学病院, 教授 (80148840)
安永 昌史 久留米大学, 医学部, 講師 (50268843)
北里 雄平 久留米大学, 医学部, 助教 (20569363)
内田 政史 久留米大学, 医学部, 准教授 (50168704)
木下 寿文 久留米大学, 医学部, 教授 (50186293)
土居 亮介 久留米大学, 医学部, 助教 (40400048)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 癌 / 膵臓癌 / PET/CT / 分子病理 / シグナル伝達 |
研究概要 |
FDG-PET は膵癌における遠隔転移の診断や Standardized Uptake Valeu (SUV) と予後の関連などについてはすでに報告がなされているが,外科的切除症例における病理組織因子,予後や再発と SUV 値の関連性についての報告は未だなされていない。そこで浸潤性膵管癌切除例における病理組織因子や予後,再発と FDG-PET における SUV 値との関連性について検討を行った。 外科的手術により,膵切除を施行した浸潤性膵管癌 41 例について術前に撮像した FDG-PET における SUV 値の結果と予後,再発との関連性を検討し,またグルコーストランスポーター GLUT-1 との相関についても検討した。 その結果,腫瘍の組織型,分化度,病期においてそれぞれの群間と SUV 値の間に有意な相関は見られなかったが,SUV 値の cut off 値を 3.40 とした際の SUV 低値群において生存率及び無再発生存率に有意な差が認められた。SUV 高値群においては術後早期に再発する傾向が認められ,その約半数が 1 年以内に再発があった。また,門脈浸潤,動脈浸潤においても SUV 高値群との有意な差が認められたが, T3 因子においては有意差は見られなかった。これらの生存率及び無再発生存率においては GLUT-1 とも有意な相関が見られたことから,膵癌術前の SUV 高値は予後不良因子であり,術後早期再発を予測する可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成 23 年度に実施予定であった膵臓癌の外科的手術による膵癌組織標本は 40 例を超え,またこれらの症例において術前の PET/CT 検査も全て施行済である。これらの撮像において,Standardized Uptake Value (SUVmax) 及び Total lesion glycolysis (TLG) の正確な算出も行っている。分子病理学的検討においても,組織標本を用いた GLUT-1 の免疫組織染色は実施済であることなど,交付申請書に記載した「研究の目的」についてはほぼ予定通りに遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,予定通り膵臓癌の外科的手術により得られた膵癌組織標本を用いた免疫組織化学染色及びウエスタンブロッティングを実施する。ケモカインレセプターであるCXCR4, DNA 結合タンパク質である YB-1, 転移抑制因子のひとつである Cap43, FDG の代謝における GLUT の発現と関連がある eNOS などについてその発現についての検討を行う。これらをもとに臨床病理学的所見,特に再発や予後とこれらの分子病理学的因子及び FDG との関係を詳細に検討することにより,膵臓癌における細胞癌シグナル伝達のメカニズムと PET 検査の意義 (特に予後の予測と再発のコントロール) を明らかにすることを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画においては,平成 24 年度,平成 25 年度とに分けて購入予定であった抗体及び染色キットを平成 24 年度に前倒しで購入する予定であるため,前倒し支払請求を行った。これにより,F-18 FDG と腫瘍を取り巻く周囲の環境,細胞内シグナル伝達機構との因果関係について,網羅的な解析が可能となることが期待される。 以上の理由から抗体の購入費として 574 千円,染色キットの購入費として 764 千円,その他分子生物学用試薬の購入費として 234 千円を計上している。 それ以外の項目についてはおおむね交付申請書通りの使用を予定しており,外国旅費を含めた旅費として 532 千円を計上している。
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