研究課題/領域番号 |
23591808
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研究機関 | 秋田県立脳血管研究センター(研究局) |
研究代表者 |
木下 俊文 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 研究員 (70314599)
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研究分担者 |
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 研究員 (40360359)
木下 富美子 (児玉 富美子) 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 研究員 (50304225)
梅津 篤司 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 研究員 (40370259)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | CT / MRI / 灌流画像 / 拡散テンソル / 脳梗塞 |
研究概要 |
脳虚血後の遠隔効果は二次変性として形態学的変化を生じるが、まず、脳梗塞後の二次変性を反映するMRI所見について検討した。線条体を含む中大脳動脈領域の梗塞20例において発症5~48日後に同側の中脳黒質にT2強調像での高信号変化とともに拡散強調像にて高信号変化が観察され、ADC(apparent diffusion coefficient)は低下していた。中脳黒質は線条体の血管障害後に生じる2次変性に特徴的な局在で、発症早期には信号変化がみられないことより、新たに生じた梗塞ではなく、経シナプス変性を反映して水拡散障害を生じることが示唆された。次に、中大脳動脈領域の梗塞8例において発症44~61日後に同側の視床にT2高信号変化とともに拡散強調像にて高信号変化が観察された。梗塞巣と隣接する線条体にもT2強調像、拡散強調像での高信号変化が認められた。拡散強調像での高信号域はいずれもADCが低下していた。4例において脳血流SPECTが早期に施行され、水拡散障害の生じた領域に早期から遠隔効果による血流低下が観察され、血流低下に引き続いて2次変性を反映する水拡散障害を生じると考えられた。 脳虚血の遠隔効果ではテント上の虚血で対側の小脳半球の血流が低下することが、脳血流PET、SPECTで広く知られているが、全脳の血流測定が可能となった320列面検出器CTを用いて脳血流量と脳血液量を検討した。脳血流PETとCT灌流画像を同時期に施行し、小脳には器質的病変のない主幹動脈閉塞症10例を対象に小脳半球の脳血流量を調べた。CT灌流画像では脳血流PETと比較して対側小脳半球血流低下のみられる頻度が少なく、血流低下の程度も軽度であった。急性期塞栓性脳梗塞12症例を対象にCT灌流画像を施行し、対側の小脳半球の血流低下がみられ、梗塞領域の虚血が強く、梗塞範囲が広い症例では対側脳血液量の低下もみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析する症例数が現時点では十分でなく、preliminaryな結果である。MRIの梗塞後の二次変性の所見を調べる撮影法と、CTの梗塞・虚血後の遠隔効果を調べる灌流画像の撮影法については確立しているので、解析症例を追加することで研究成果を結実させることが期待でき、決定的な遅れとは言えず、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
対象とする症例数を増やして所見を調べることで、梗塞後の二次変性のMR所見について拡散強調像で測定される拡散障害に重点を置きながら知見を見出す。またCT灌流画像では梗塞・虚血後の対側小脳半球の血流低下すなわちcrossed cerebellar diaschisisのみられる頻度と程度について調べて核医学検査との対応を試みる。梗塞と同側の視床の血流低下が遠隔効果として生じるが、CT灌流画像で同定できるかどうかも検討する。以上の研究を進めて、国際学会での発表および論文化を目指す。 さらに脳梗塞初期にみられる梗塞に伴う二次的な変化についてMRI・拡散テンソル解析を用いてtractographyやfractional anisotropyのデータから捉えられないか、方法論について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
情報収集および成果発表のために学会、研究会に参加するための旅費、宿泊費を要する。日本磁気共鳴医学会、日本医学放射線学会秋季臨床大会、日本核医学会、日本神経放射線学会の参加を予定している。以前に在籍していた施設(鳥取大学、聖路加国際病院)で経験された症例データの解析や研究打合せでも旅費、宿泊費を要する。情報収集のための単行本、統計処理解析ためのソフト(SPSSなど)の購入、データ保存のためにDVD、CD、USB、ハードディスクなどを使用し、研究を進める。現時点では汎用のパソコンを用いてデータ解析、文献調査、プレゼンテーション用ファイルの作成、文書、論文の作成を行っているが、データ解析専用のPCの購入を考慮したい。
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