研究課題/領域番号 |
23591808
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研究機関 | 秋田県立脳血管研究センター(研究局) |
研究代表者 |
木下 俊文 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 部長 (70314599)
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研究分担者 |
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 主任研究員 (40360359)
木下 富美子 (児玉 富美子) 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 主任研究員 (50304225)
梅津 篤司 秋田県立脳血管研究センター(研究局), その他部局等, 主任研究員 (40370259)
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キーワード | CT / MRI / 灌流画像 / 脳梗塞 / 二次変性 |
研究概要 |
小脳テント上の片側性の脳虚血において遠隔効果で対側小脳半球の血流の低下することが脳血流SPECTやPETで広く知られていて、crossed cerebellar diaschisis(CCD)と言われる。320列面検出器CTを用いて全脳をカバーしたCT灌流画像を得て、同じ画像データを用いて時間軸を有した3D-CTAすなわち4D-CTAを作成した。発症6時間以内の片側性中大脳動脈領域の梗塞35名を対象にCT灌流画像の脳血流量と脳血液量のマップを得てCCDの有無を検討した。単純CTおよびMRIで小脳半球に器質的病変のないことを確認し、CT灌流画像において対側小脳半球の脳血流量や脳血液量に比して10%以上低下している場合を非対称性と評価した。小脳半球の脳血流量の非対称は35例中25例で観察され、いずれもテント上の梗塞と対側の小脳半球の血流低下で、CCDと評価され、脳血液量もカップリングして低下していた。CCDのみられる場合、4D-CTAにおいて閉塞血管末梢の動脈に造影剤が停滞し、梗塞サイドの皮質静脈が遅れて描出され、循環遅延を示す所見が認められた。 脳梗塞後の二次変性のMRI・拡散強調像の所見の経時変化をふまえた検討、解析も症例を追加して調べ、線条体梗塞後の同側中脳黒質の高信号変化と、中大脳動脈領域梗塞後の同側視床の高信号変化についてまとめている。また、橋梗塞後の橋小脳路のワーラー変性を反映したT2強調像の高信号変化についても調べ、一部は拡散強調像で高信号変化がみられた。視床梗塞後の二次変性として乳頭体の萎縮がおきることを発見し、視床前核を含む梗塞後にみられることが多く、その頻度について調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
急性期脳梗塞CT灌流画像と亜急性期脳梗塞のMRI拡散強調像については解析する症例数はほぼ十分となり、preliminaryな知見は得られていて、仮説は検証できると考えられ、解析ポイントの追加することで研究成果を結実させることが期待できるので、決定的な遅れとは言えず、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
急性期脳梗塞を対象としたCT灌流画像でのcrossed cerebellar diaschisisの検出に関して、CT灌流画像と同時に得られる4D-CTA所見と対比、検討して研究結果をまとめる。MRI拡散強調像の梗塞後の二次変性所見については線条体梗塞後の中脳黒質の二次変性、橋梗塞後の橋小脳路のワーラー変性、中大脳動脈梗塞後の視床の二次変性、視床梗塞後の乳頭体の二次変性について分けて経時変化をふまえてまとめ、論文化を目指す。 CT灌流画像でみられる遠隔効果の妥当性を検証するために、CT灌流画像と同時期に施行した15O PETでの脳血流量の測定と比較してCT灌流画像における遠隔効果の検出の特徴について検討する。 CT灌流画像と15O PETとの対比を行うには症例数が十分に達しない可能性もあり、これまでにMR灌流画像と15O PETを同時期に施行した症例データがあり、15O PETとの対比はMR灌流画像データで行うことも考慮する。
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次年度の研究費の使用計画 |
急性期脳梗塞を対象にCT灌流画像を施行し、crossed cerebellar diaschisisの遠隔効果について検証を進め、連続的な対象群の数を確保するため、観察期間を延長して解析し、次年度に発表、報告することを想定して未使用額が生じた。梗塞後の二次変性のMRI所見について検討血管がまとまりつつあるが、視床梗塞後の乳頭体の二次変性を示すMR所見を新たに発見し、その結果の検討を要するため。 解析データを保存するための媒体、国内学会での旅費、論文作成後の英文訂正などに用いる。
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