研究課題/領域番号 |
23591810
|
研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
内山 菜智子 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (00318479)
|
キーワード | 国際研究者交流・ドイツ |
研究概要 |
乳腺X線診断領域において、近年デジタルトモシンセシスが開発され、臨床導入されてきている。本装置は、従来の2D画像のマンモグラフィと異なり、スライス画像や3D画像が収集可能となることで、乳癌診断における精度向上に寄与しうる新たな画像診断モダリテイとして期待されている。本研究においては、同撮影装置を用いた新たな画像診断および画像解析システムの開発研究を、研究協力者である撮影装置メーカー開発部(Siemens社 SP Groupドイツ開発本部)とともに共同で行うものである。当施設は豊富な乳癌症例に関するデータを有しており、短期間かつ実践的臨床応用に反映する画像診断システムを開発することが可能である。これにより、現在わが国において増加の一途をたどり大きな問題となっている乳がんの早期診断、早期治療を行い、乳がん患者の予後、QOL改善を得ることに本研究は貢献できるものと考える。 平成23年度および平成24年度における検討により開発されたシステムについて、実臨床症例を用いてデジタルトモシンセシス対応画像処理アルゴリズムおよび診断支援システムについての改良点、問題点につき 引き続きSiemens社ドイツ開発本部担当者と研究代表者が共同で行った。さらに、これらの検討結果をもとに画像処理アルゴリズムを実臨床機器へ導入し、実践的臨床利用が可能となることを目指すとともに、得られた結果を取りまとめ、成果発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像処理アルゴリズムおよび診断支援システムを実臨床機器へ導入し、実践的臨床利用が可能となることを目指すための検討をおこなった。平成23-4年度における臨床症例の検討により、デジタルトモシンセシスの精査診断における術前症例、化学療法前後の症例における他の撮影モダリテイ(MMG,US,MRI,CT)の効果判定における有用性が示唆された。これにより、原発巣の評価において術前外科症例にとどまらず、内科的治療における有用性が確認でき、より臨床における適用性、必然性が示唆された。さらに本年度においては、MMGにおいて検出困難である浸潤性小葉癌におけるデジタルトモシンセシスの検出率5.6%、確診度における42.1%の改善が認められ、検診における応用への適用性が示唆された。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床症例の検討により、デジタルトモシンセシスの精査診断および検診における適用性が示唆された。一方で、多量かつ高精細DICOM再構成画像を画像ワークステーションに転送し,画像処理、画像表示を行うのに時間を要する点が、精査および検診の両面において具体的な臨床応用への大きな問題となっている。今後は、マンモグラフィおよびDBT画像と他のモダリテイ(US,CT,MRI,PET等)が同一ワークステーション上にて表示および解析できるシステムを構築する。さらにはコンピュータ支援診断(CAD)等マルチモダリティ対応解析システムの可能性についても検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究成果についての論文作成および学会発表を行うために当該助成金を必要とすることが生じたため 国際学会IWDM2014(7月岐阜開催)において発表および論文(proceedings)発表を行う。
|