研究課題/領域番号 |
23591811
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西嶋 剣一 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60364254)
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研究分担者 |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
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キーワード | 放射性薬剤 |
研究概要 |
本研究は、血管新生因子PD-ECGFに親和性を有する新規F-18標識化合物を合成し、細胞および動物による基礎実験により、PET薬剤としての有用性を評価するものである。平成24年度は、前年度に引き続きPD-ECGFに高い親和性を有するフッ素含有化合物の合成、標識前駆体を目指し、以下の検討を実施した。 1)含フッ素リード化合物の設計合成、リード化合物の標識前駆体の合成 フッ素の導入や化合物の大量合成に関して、種々の保護基を検討し適切な保護基を選択することにより、目的とする含フッ素リード化合物の合成ルートを確立することができた。現在、本合成ルートによる含フッ素リード化合物の合成及び精製、化合物の機器分析データの取得を実施している。しかしながら本合成ルートは、F-18を用いた標識化には適さないため、引き続き標識前駆体の合成検討を継続している。 2)他のF-18標識合成の検討 含フッ素TP阻害化合物やその標識前駆体を得るための進捗が計画よりも遅れているため、他のF-18標識合成の検討を実施した。すなわち我々がすでに合成した既知のPD-ECGF阻害化合物の側鎖の複素環の窒素(N)へF-18フルオロヨウ化メチルを導入するものである。F-18フルオロヨウ化メチルの標識合成に向けて、自動合成装置の整備(装置の改造等)を実施した。来年度は、含フッ素リード化合物のPD-ECGFへの阻害活性の測定、標識前駆体の合成及びF-18フッ素体の合成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度以降の実験計画では、含フッ素リード化合物の細胞及び担がんモデル動物による評価を計画していた。しかしながら、設計した含フッ素リード化合物の合成が困難を極め、種々の合成ルートを計画し、今年度ようやく含フッ素リード化合物を得ることに成功した。研究の進捗は遅れているが、目的を達成するため本含フッ素リード化合物の有用性の評価を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究課題により得られた含フッ素リード化合物の有効性の評価を実施する。また、F-18標識化に向け、適切な標識前駆体を設計し合成を行う。 非標識体のTP阻害活性測定:得られたフッ素含有リード化合物のPD-ECGFへの阻害活性を測定しイメージング剤としての妥当性を検討する。酵素阻害活性の測定チミジンを基質としたE.coli由来およびヒトのTP活性の阻害効果を測定することにより、化合物の酵素活性阻害作用を評価する。すなわち酵素反応により生成したチミンをHPLC法を用いて定量を行うことにより求める。 F-18標識薬剤の合成:にF-18標識フルオロヨウ化メチルの合成し、F-18標識PD-ECGF阻害物を得る。標識合成においては、条件検討ならびに、被ばくを考慮し自動合成装置への実用化の検討を行う。 in vitro実験細胞取り込み実験:様々な腫瘍細胞(ヒト皮膚がん細胞:A431、ヒト胃がん細胞:AZ521など)を用いてin vitroでの標識化合物の腫瘍への取り込み実験を実施する。その取り込み機序について検討を行う。 in vivo実験(正常マウスの体内分布測定):標識化合物について正常動物における生体内分布を明らかにする。また標識化合物の安定性、in vivoでの安定性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に計画していた目的化合物の細胞・動物による評価が、進捗の遅れから実施出来なかっため、研究費の未使用が発生した。平成25年度に、目的化合物の細胞・動物による評価を行い、以下の研究費の使用を計画する。 細胞及び動物実験の実施のため、消耗品類、免疫染色用の抗体・キット、ヌードマウスをはじめとする動物などを購入する。
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