研究課題/領域番号 |
23591813
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
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研究分担者 |
北村 陽二 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (10368483)
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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キーワード | アルツハイマー病 / コリン作動性神経 / 分子イメージング / アセチルコリントランスポーター |
研究概要 |
本年度は、in vitroで優れたVAChT親和性を示したo-iododecaline vesamicol(OIDV)のin vivoでの体内動態を調べる実験を行った。[I-125]OIDVの脳内分布体を調べた結果、投与後10分で、大脳皮質で0.45%ID/gの集積を示すことから、血液―脳関門を通過することが確認できた。また、in vivo阻害実験により、[I-125]OIDVの脳内集積が(+/-)-ベサミコール同時投与により、75%阻害され、また、σ-リガンドである(+)-ペンタゾシンや(+)-3-PPPで阻害されなかったことから、[I-125]OIDVの脳内集積はVAChT選択的であることがわかった。さらに、ex vivoオートラジオグラフィ実験により、[I-125]OIDVは大脳皮質、線条体、対角帯、海馬、視床、小脳等に集積が見られた。これらの脳内局所分布は、VAChTの分布に対応しているコリン作動性神経系の後シナプスの受容体であるムスカリン受容体(m1~m5)やニコチン受容体の分布に一致していた。以上のことから、[I-125]OIDVは脳内VAChTに対して、高親和性かつ選択的に結合するVAChTイメージング剤になると考えられた。さらに、OIDVを立体異性体分離することにより、さらに優れたVAChTイメージング剤となる可能性が高い。そこで、キラルカラムも用いたHPLCによる、立体異性体分離を試みた。その結果、2つのピークに分離することができた。これらを、NMR,質量分析、X線結晶解析および比旋光度測定を行う事により、光学異性体である(-)-OIDVと(+)-OIDVであることが確認できた。 今後、[I-125]や臨床用核種である[I-123]による標識を行い、より優れたVAChTイメージング剤の検討を行う予定である。
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