研究課題
本申請研究の主たる目的は、脳卒中CT検査における被ばく線量(水晶体線量)と画質との関係を明らかにし、最適プロトコル確立のための基礎情報を与えることである。本年度は、超急性期脳梗塞の検出に主眼を置き、撮像法の違いによる検出能への影響について詳細に検討した。その主な成果を以下に示す。本研究では、初年度に作成した早期虚血性脳梗塞ファントムを様々な条件で撮像し、これを評価対象画像として採用した。さらに、デュアルエナジスキャン(80kV及び140kV)で得られた仮想単色CT画像も評価対象とし、これらの画質特性をもとに、病変検出能の違いを検討した。その具体的な検討項目は1.撮像条件と水晶体線量との関係2.CNRによるコントラスト分解能の評価3.エントロピー解析である。水晶体線量は管電圧及び管電流と共に直線的に増加した。一般に、超急性期脳梗塞を検出する際、高電圧・高電流撮像法を用いてCT検査が行われているが、この方法でCT検査を行った場合、ルーチン条件よりも、約1.8倍水晶体線量が高くなった。これと同じ結果はデュアルエナジスキャンでも確認された。一方、画質評価に関しては、これとは対照的な結果となり、高電圧・高電流撮像法やデュアルエナジスキャンを行うことで、コントラスト分解能は、共に改善した。しかし、その効果には大きな違いがあり、高電圧・高電流撮像法よりも、デュアルエナジスキャンを実施した方が、約1.6倍CNRが高くなった。さらに、これらの撮像法で取得したCT画像の平均情報量を求めたところ、デュアルエナジスキャンを行った時に、最も多くの病変情報が含まれていた。これはデュアルエナジスキャンを実施することにより、ビームハードニング効果が、効果的に抑制されたことと深く関連していると推察した。以上の結果から、デュアルエナジスキャンは、超急性期脳梗塞を検出する上で有益な撮像法であることが示唆された。
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