研究課題
前年度までに収集した健常者40名と早期認知症患者(MCI)75名の脳FDG-PET画像に対して、Automated Anatomical Labeling (AAL、116領域)、Brodmann area (BA、41領域)、LONI Probabilistic Brain Atlas (LPBA、56領域)を自動設定し、各領域のFDG集積率(全脳平均比)を算出した。これらのデータを用いて脳FDG画像を用いた健常者-MCI判定支援装置を作成した。2群判別には判別性能が高いことが知られているSupport Vector Machine (SVM)と代表研究者が独自開発したk-index法を用いた。まず全標本の全領域データを用いる解析を行った。SVMを用いてLeave-one-out法により算出した判別性能はAALでは80.0、67.5、86.7、BAとLPBA40ではともに79.1、72.5、82.7(それぞれaccuracy、sensitivity、specificity、いずれも%)であった。この結果からはFDGの脳画像データのみでも最高で約80%の正解率を期待できることが判った。今回Petersenらが提唱するamnestic MCIの診断基準を用いているため健常者群、MCI群ともに誤診断が含まれる可能性や境界域の標本が存在しうることを考えると良好な判別結果と思われた。また、SVMでは判定の信頼性に関して情報がなく臨床利用しづらい。類似度を数値化できるk-index法を用いて検証した。標本を教師データと検証データに分け、検証データでの判定性能評価を行った結果、accuracy 73.7%、sensitivity 72.9%、specificity 75.0%であった。現在、以上の知見を投稿準備中であり、今後MCI患者の経過観察結果を取り込んだ検証を行いたい。
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