研究課題/領域番号 |
23591819
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大須賀 慶悟 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90332741)
|
研究分担者 |
東原 大樹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90423186)
前田 登 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00506488)
日高 国幸 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (50437430)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 血管塞栓物質 / 球状ビーズ / 血管ファントム |
研究概要 |
球状ビーズの血管内流動挙動の把握が可能な直径1mm 未満の血管塞栓用ファントムはない.本年度は科研費申請時の計画に沿って,ビーズの流動挙動解析用ファントムの作成を行った.1 本のテーパー状の模擬血管をもつ単純型模擬血管モデルと2分岐をもつ分岐型模擬血管モデルの2種類のファントムをバイオメディカル社と共同開発を行った.材質はアクリル材で作成し,入口部と出口部を設け,出口に近づくと内径0.5mmになるように設計した.これにより,流体中を流れる直径φ1mm程度の球状ビーズの塞栓挙動の実験が可能となる.流速可変型模擬血流システムは,オーバーフロータンクの高さを変更することにより,ファントム中を流れる流速の変更が任意に可能となるようシステムを構築した.システムはオーバーフロータンク,顕微鏡,対物レンズ,高速CCDカメラ(高感度高速ビデオカメラもしくは USB式CCDカメラ,低倍率レンズ,模擬血管ファントムからなる.フロータンクの高さと模擬ファントム手前での流量との関係は良好な直線関係となった. 構築したシステムを用いて,球状ビーズの塞栓実験のパイロットスタディを行った.使用した球状ビーズはTG-MS(Embosphere)900-1200μm, APVA-MS(BeadBlock)900-1200μm, PP-PMMA-MS(Embozene)900μmの3種類を用いた.いずれも,ファントム内で程度は異なるものの,その形状を変形させ,出口方向へ進んでいくのが観察された. 又,顕微鏡下の観察では,球状ビーズの種類により形状の描出が乏しいものもあった.さらには,推定したよりも初期到達点から最終到達点にいたるまでの制動距離が長く,初期到達点と最終到達点の両方を同時に同じ画面上に記録することは困難と考えられた.この点については次年度にシステムの再構築により解決を試みるものとする.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
球状塞栓物質のサイズはφ1mm以下である.そのため,実験システムを構築するのにも時間がかかる.球状塞栓物質を使用した流動実験となると,球状塞栓物質のサイズが小さいため,球状塞栓物質の取扱が難しく,時間がかかるのが現状である.
|
今後の研究の推進方策 |
現在の血管ファントム実験の問題点を洗い出し,手順等についても再検討を行う。その上で,適切なファントム実験システムの再構築を行う予定である.再構築ができた後に,球状塞栓物質の塞栓挙動の流動実験を行う.具体的には球状ビーズの血管内挙動の動態解析として、一定血流下にファントム内にビーズを注入し、顕微鏡下・CCDカメラ下で動態記録を行い、ビーズの経時的な塞栓深度の変化から時間塞栓深度曲線を作成し、注入開始から初期到達点及び最終到達点に至る時間を推定する。次年度は、動物実験に移行していく予定で,現在実験開始に向けて,システム環境整備及びプロトコールについて検討を行っている.具体的には、ブタ腎動脈モデルを用いて、規定量のビーズを注入後、上記ファントム実験の結果を踏まえて推定される初期到達点及び最終到達点への時間において動脈結紮を施し、病理組織学的に、閉塞血管径、塞栓点におけるビーズの粒子径及び変形の程度を観測する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ファントム実験システムの再構築,動物実験に係る費用,研究発表その他に係る費用などを考慮している。ファントム実験システムにおいては、血管ファントムの改良及び顕微鏡・カメラなど観察系の整備などに費用を要する。動物実験においては、実験動物・実験器具・試薬の購入、病理標本の作製、及び飼育環境などに対する費用が発生する。研究発表その他においては、各種会議・学術集会への参加、資料作成、出張費、人件費・謝金などが見込まれる。
|