研究課題/領域番号 |
23591821
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日高 勲 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70593440)
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研究分担者 |
山崎 隆弘 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (00304478)
内田 耕一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80397992)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肝動注化学療法 / 肝細胞癌 / ミリプラチン |
研究概要 |
我々はこれまでに肝細胞癌に対する経血管的治療として、固形塞栓物質を用いず、リピオドールと微小デンプン球(DSM)の両者を併用する新たな肝動注化学療法を考案し、シスプラチンを用いた臨床研究を行っており、その有用性を認めたため、論文などに報告した。本研究の平成23年度の目的は、シスプラチンよりもリピオドールとの親和性がよいミリプラチンを用いてリピオドールとDSMの両者を併用する新たな肝動注化学療法の有用性を検討することである。従来の肝動注化学塞栓療法の適応症例を対象とし、無作為割り付けによる、2群(ミリプラチン+リピオドール群、ミリプラチン+リピオドール+DSM群)比較検討試験を、山口大学医学部附属病院医薬品等治験・臨床研究等審査委員会の承認を得たのちに開始した。ミリプラチンの最大使用量は120mgとし、腫瘍の個数、最大径でリピオドールの投与最大量を変更することとし、腫瘍5個以下で最大径5cm以下ではリピオドール6mlまで(A群:ミリプラチン+リピオドール(最大投与液量:6 mL/回、B群:ミリプラチン+リピオドール(最大投与液量:6 mL/回)+DSM)、10個以下で最大径10cm以下ではリピオドールは10mlまで(C群:ミリプラチン+リピオドール(投与液量:6 mL/回を超過し10 mL/回まで)、D群:ミリプラチン+リピオドール(投与液量:6 mL/回を超過し10 mL/回まで)+DSM)とした。これまでに13症例の登録を行い、治療を施行中である。13症例の内訳はDSM併用群7例(B群:3例、D群:4例)、DSM非併用群6例(A群:4例、2例)である。これまでのところ、特に重篤な合併症は認めておらず、安全に治療を施行できており、今後も継続していく予定である。無増悪期間や抗腫瘍効果、全生存期間などの有用性については今後検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は臨床研究によりミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性の検討と肝動注化学療法後のソラフェニブ投与による併用効果の検討である。平成23年度の実施計画は、ミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性の検討を開始することであったが、順調に臨床研究を開始できている。しかし、有用性の評価のために3年間で100症例の登録を目標としているが、平成23年度の登録症例数は13症例であり、やや少ないと考える。今後更なる適応症例の登録が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性の検討に関する臨床研究への症例の登録を継続し、治療を行う。さらに肝動注化学療法後のソラフェニブ投与による併用効果についても検討を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度より検討を開始しているミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法の有用性の検討に関する臨床研究を継続する。さらに、ミリプラチンを用いた新たな肝動注化学療法後にソラフェニブの併用投与の有用性についても検討を開始する予定であり、これらの研究を推進するための消耗品、試薬等に研究費を充てる。また、登録症例における治療前後の血管新生因子などのサイトカインについては平成23年度より検討を開始する予定であったが、使用する測定キットの特性(測定検体数、使用期限)のため、平成23年度はキットの購入を見送った。平成24年度にキットを購入し、測定する予定である。
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