研究課題/領域番号 |
23591821
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日高 勲 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70593440)
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研究分担者 |
山崎 隆弘 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00304478)
内田 耕一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80397992)
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キーワード | ミリプラチン / 微小デンプン球 / 肝動注化学療法 / 肝細胞癌 / VEGF |
研究概要 |
我々はこれまでに肝細胞癌に対する経血管的治療として、固形塞栓物質を用いず、リピオドールと微小デンプン球(DSM)の両者を併用する新たな肝動注化学療法を考案し、シスプラチンを用いた臨床研究を行っており、その有用性を論文などに報告した。 本研究の目的はシスプラチンよりもリピオドールとの親和性がよいミリプラチンを用いてリピオドールとDSMの両者を併用する新たな肝動注化学療法の有用性を検討することである。平成23年より、従来の肝動注塞栓療法の適応症例を対象とし、無作為割り付けによる2群(ミリプラチン+リピオドール群:DSM非併用群、ミリプラチン+リピオドール+DSM群:DSM併用群)比較試験を、山口大学医学部附属病院医薬品等治験・臨床研究等審査委員会の承認を得て、開始している。平成23年度から25年度に30症例の登録を行い、治療を施行中である。30症例の内訳は、DSM非併用群13例、DSM併用群17例である。 平成25年度は症例の蓄積に加え、結果の解析を行った。平成26年3月時点で、治療後3ヵ月目の効果判定が可能であった26症例において、奏効率はDSM非併用群で18.1%、DSM併用群で40.0%とDSM併用群で高い傾向があり、無増悪生存期間もDSM非併用群では164日であるのに対し、DSM群では231日と延長している傾向を認めている。現時点で、全生存期間に差は認めていない。 また、治療前に採取した保存血清を用いて、ELISAにてVEGFやIL-8などの血管新生因子やHB-EGFなどの細胞増殖因子について測定したところ、DSMの併用、非併用に関わらず、非奏功例では奏功例に比べてVEGF-AやIL-8が高く、HB-GEFが低い傾向があった。肝癌、特にC型肝炎ウイルスに起因する肝癌と関連があるとされる酸化ストレス(ROS)をd-ROM TESTを用いて測定したところ、ROSの上昇を認めた。
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