研究課題/領域番号 |
23591826
|
研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
|
研究分担者 |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
秋澤 宏行 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90311795)
|
キーワード | 放射線 / 核医学 / がん治療 / 内用放射線治療 / チミジンホスホリラーゼ |
研究概要 |
チミジンホスホリラーゼ(TP)は、多くのがんに高レベルに発現し、がんの血管新生、浸潤、転移と深く関連しており、TP阻害剤はがんに特異的に高い集積を示す。そこで、このTP阻害剤を細胞殺傷性の高い放射線を放出する放射性同位元素I-131で標識し、その放射線の作用によりがん細胞を破壊し、がんを治療する。このような内用放射線治療に用いる放射性医薬品の開発を目的として研究を進めている。 ウラシルの6位側鎖にイミダゾリジニル基を有し、5位にヨウ素を導入し、強いTP阻害作用を有する化合物IIMUの放射性ヨウ素標識体の体内分布実験を実施した。その結果の詳細な検討から各組織、臓器の線量評価を行い、内用放射線治療に用いる投与量のレベルを推定することができた。 また、前年度に引き続き、肝臓などの他組織への集積が少なく、がんへの集積率がより高い分子として、体内動態の改善を目指し、5位にヨウ素、6位にアミノ基やアミド基などを有する種々のウラシル類を設計合成した。それらの化合物のTP阻害活性の測定を実施したが、一例を除き、IIMUに匹敵するTP阻害活性の高い化合物を得ることはできなかった。 今回見出されたTP阻害活性の高い化合物について、その標識合成を種々の条件で検討した。しかしながら、反応中間体の不安定性が課題となり、満足すべき結果を得るには至らなかった。今後、当該化合物の標識体を合成し、その担がん動物における動態を評価し、内用放射線治療薬剤としての有用性を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TP阻害活性の高い化合物が見出されたことは評価されるが、その放射性ヨウ素標識体合成に至らなかったため、体内動態の評価が遅れていることがその理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、新規のTP阻害剤について、放射性ヨウ素を導入する方法を詳細に検討し、その標識合成法を確立する。当該化合物に関して、細胞殺傷効果の評価や体内動態評価を行い、内用放射線治療薬としての有用性を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
TP阻害活剤のヨウ素標識体の合成を実施し、薬物動態評価を進めるためには、一般合成試薬やRIを含む薬品類、実験動物、器具などの購入が必要となる。
|