研究課題
がんの内用放射線治療薬剤の開発として、多くの固形腫瘍に高発現し、がんの血管新生、浸潤、転移と関係深いチミジンホスホリラーゼ(TP)を標的とした細胞殺傷性の放射性ヨウ素標識薬剤の開発研究を進めた。 TP阻害剤に基づき設計・合成された[131I]5-iodo-6-[(2-iminoimidazolidinyl)methyl]uracil([131I]IIMU)IIMUに関して、前年度の体内分布実験に基づく線量評価から推定された内用放射線治療における投与量を考慮し、A431担がんマウスにおける治療の予備検討を行った。また、引き続き、腫瘍以外の組織への分布がより少なく、強いTP阻害作用を有するウラシル誘導体として、ウラシル6位のメチレン鎖に種々の置換基を有する分子を設計し、その標識合成を検討した。標識化は円滑に進行するものの、成績体の濃縮,精製段階での分解を避けることができず、体内分布実験を実施することはできなかった。一方、より腫瘍集積性の高い薬剤としてがん組織に特有の性質を利用した体内動態化学制御型薬剤の開発を検討した。体内動態が制御されれば腫瘍におけるTPに選択的に結合する内用放射線治療薬剤となることが期待された。 標識前駆体の合成は完了したが、ヨウ素標識率、精製方法及び薬剤安定性に問題を残した。このため、本薬剤による体内動態制御の有効性を確認するには至らなかったが、本研究によりTPを標的とした体内動態化学制御型薬剤開発の道筋をつけることができた。
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