研究課題/領域番号 |
23591828
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研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
平田 雅彦 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (00268301)
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キーワード | EGFR / tyrosine kinase / SPECT / radiopharmacrtical / tumor |
研究概要 |
上皮成長因子受容体(EGFR) は、細胞の分化・増殖に関与している受容体であり、多くの癌細胞において過剰発現が認められている。このことから、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR-TK)を標的とする分子標的治療薬の開発が活発に行われ、4-アニリノキナゾリン骨格を有するゲフィチニブやエルロチニブが肺癌の治療薬として用いられている。近年、これらと同等の活性を有するチエノピリミジン誘導体が報告され、注目を集めている。一方、放射性薬剤を用いた核医学診断法は、癌に発現した標的分子の動態を画像化することから、癌の早期診断と抗癌剤の治療効果予測が可能となる。このような背景を基に、チエノピリミジン骨格を有する化合物N-((5-(4-(3-iodophenoxy)thieno[3,2-d]pyrimidin-6-yl)furan-2-yl)methyl)-2-morpholinoethanamine(6)をドラッグデザインし、合成した。しかしながら、本化合物のEGFR-TKに対する阻害活性は既存の薬剤に比べても大幅に低く、薬剤設計の改善が必要と考えられた。 一方、EGFR-TK標的抗癌剤耐性を生じた癌を検出可能な画像診断薬剤としては、当初m-Tor阻害剤をもとに合成を検討したが、合成が難しいと考えられた、そこで、新たにmPI3キナーゼを標的とした薬剤の合成を検討し、その合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、選択的かつ生体内で安定なリガンドの開発が求められるが、今回合成した化合物はいずれもEGFチロシンキナーゼに対する疎外活性が大幅に低下してロ位、診断薬剤としては不適であった。そこで、活性を損なうことなく安定な化合物の設計を行い、合成する必要がある。反応経路の観点から様々な検討を行っているが、新しい化合物の合成が達成されていない。そこで、合成も含めた薬剤設計を再検討を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤設計した化合物の合成をできるだけ早期に達成し、化合物の放射性医薬品としての可能性についてインビトロ、インビボの双方で検討する予定である。そいて、耐性癌に対する新規放射性薬剤の開発も併せて行い。所期の目標である、これら新規化合物を用いた診断システムの構築を達成する予定である。
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