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2011 年度 実施状況報告書

高齢者に対する根治的放射線治療適応基準の確立に向けた研究

研究課題

研究課題/領域番号 23591830
研究機関北海道大学

研究代表者

鬼丸 力也  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80374461)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード放射線治療 / 高齢者 / 癌 / 体幹部定位放射線治療
研究概要

(1)高齢癌患者に対する根治的放射線治療の適応基準の作成とQOL調査北大病院における放射線治療患者の年齢の推移を調査し、発表した(北海道大学病院での高齢者に対する放射線治療 北日本放射線腫瘍研究会 2011年6月16日 盛岡)。2000年から2004年と2005年から2009年とを比較して、75歳以上の高齢者が放射線治療を受けた実数は肺・縦隔領域の腫瘍で92名から157名と増加していた。1.6倍もの増加は他領域の癌では見られなかった。これは、肺癌では体幹部定位放射線治療が放射線が照射される範囲が小さいことで合併症も軽くすむことから高齢肺癌患者に対する有望な治療法とされているが、他領域の癌では体幹部定位放射線治療のような放射線を照射する範囲が小さい治療法は開発されていないことによるものと推測された。75歳以上の高齢者肺癌に対する体幹部定位放射線治療成績や合併症を調査し、学会発表すべく応募中である。以下の結果が得られた。75歳以上で、初診時に単発病変、病理組織で非小細胞肺癌と確定された患者95名を対象とした。年齢は75歳から90歳まで分布し、中央値は81歳であった。全生存率は3年で54.2%、5年で49.6%であった。3年生存率は、腫瘍の大きさが0~2cm以下のものでは69.9%、2cm~3cm以下では55.9%、3cmより大きなものでは36.1%で有意差を認めた(p=0.00845)。3年局所制御率は0~2cm以下のものでは91.1%、2cm~3cm以下では72.2%、3cmより大きなものでは52.9%で有意差を認めた(p=0.0271)。(2) 急性期反応を予測するモデル作成体幹部定位放射線治療後の肺臓炎の画像所見をカテゴライズし、線量や既往の肺疾患、喫煙歴との関連がないかを検討すべく準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高齢者に対する高齢癌患者に対する根治的放射線治療の適応基準の作成とQOL調査(合併症)については学会発表に応募し、論文作成も視野に入る状況である。おおむね順調と自己評価する。急性期反応を予測するモデル作成については、画像所見のカテゴライズ方法の検討に難渋したが、Aoki T, et al. Evaluation of Lung Injury after Three-dimensional Conformal Stereotactic Radiation Therapy for Solitary Lung Tumors: CT Appearance, Radiology, 2004;230:101-108.を参考に行う予定である。カテゴライズ化にめどが立ったため、こちらもほぼ順調と評価する。

今後の研究の推進方策

高齢肺癌患者に対する体幹部定位放射線治療の成績ついては7月ならびに10月の学会発表後に論文作成に着手する。他領域の癌についての高齢者の治療成績を検討する。体幹部定位放射線治療が適応とならない疾患で、どのような高齢者が放射線治療を完遂できたか検討する。retrospectiveな検討となるが、放射線治療完遂のための十分条件を推測することが可能と思われる。急性期反応のモデル作成のための画像所見などのデータベース作成、解析を行う。画像所見のカテゴライズ方法は、Aoki T, et al. Evaluation of Lung Injury after Three-dimensional Conformal Stereotactic Radiation Therapy for Solitary Lung Tumors: CT Appearance, Radiology, 2004;230:101-108.を参考に行う予定である。画像所見と既往の肺疾患(肺気腫の有無など)や喫煙歴(Brinkman indexなど)との関連を調べることで、既存の肺に与えられた損傷と放射線肺臓炎の程度の関連を調べることが可能と思われる。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度は学会出張費が安価ですんだため未使用分が発生した。その分を平成24年度に資料購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 北海道大学病院での高齢者に対する放射線治療2011

    • 著者名/発表者名
      鬼丸力也
    • 学会等名
      北日本放射線腫瘍学研究会
    • 発表場所
      ホテル東日本盛岡(盛岡市)
    • 年月日
      2011年6月16日
  • [学会発表] 放射線治療におけるPETの利用2011

    • 著者名/発表者名
      鬼丸力也、安田耕一、加藤徳男、白土博樹、志賀哲、岡本祥三、玉木長良、本間明宏、折舘伸彦、福田諭
    • 学会等名
      第35回日本頭頸部癌学会(招待講演)
    • 発表場所
      ウィンク愛知(名古屋市)
    • 年月日
      2011年6月10日
  • [学会発表] T2N0M0非小細胞肺癌に対する体幹部定位放射線治療第I相試験(JCOG0702)のデザインと進捗状況2011

    • 著者名/発表者名
      鬼丸力也、白土博樹、大西洋、有賀久哲、唐澤克之、松尾幸憲、小久保雅樹、塩山善之、石倉聡、伊藤芳紀、平岡真寛
    • 学会等名
      第52回日本肺癌学会総会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪市)
    • 年月日
      2011年11月3日

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公開日: 2013-07-10  

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