本研究では,食道癌の切除標本を対象に,バイオマーカー発現とリンパ節転移の関連を検討することで,リンパ節転移の起こりやすさにあわせた照射野の個別化を可能にしようとした. 検討の結果,LOXまたはCD44の発現上昇がある場合にはリンパ節転移のリスクが高いことがわかった.まだ予防域の設定についての結論はでていないが,LOXの発現上昇がなく,さらにCD44の発現上昇がない場合には,リンパ節転移の可能性が低く,予防域を安全に省略できる可能性が高いことがわかった.今後は,内視鏡下の生検検体でも同様の結果が得られるかどうかの検討を行い,個別化照射野を用いた前向き試験を目指していく予定である.
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