研究課題
(1)強度変調放射線治療放射線治療を行った10例のCT画像を用い、2門、4門および強度変調放射線治療(IMRT)の治療計画の比較を行った。PTVは、子宮、子宮傍組織および骨盤内リンパ節とし、リスク臓器は小腸、直腸、膀胱、骨盤骨(大腿骨頭、恥骨、仙骨)とした。IMRTは固定9門でダイナミックMLC法を用い、D95%処方とし、小腸、骨盤骨、小腸及び骨盤骨の両方にそれぞれ重点をおいて線量制約を加えた複数の計画を比較した。その結果、2門、4門、IMRTの治療計画では標的体積のD95%がそれぞれ92%、94%、100%(処方線量)であった。小腸V95%は61%、56%、38%、骨盤骨V95%は64%、45%、14%であり、IMRTで有意に線量の低減が図れた。IMRTでは計画により、PTV内や小腸に最大で128%の意図しない高線量域を生じたが、骨盤骨に重点をおいた制約により回避できた。以上から、子宮頸癌の全骨盤照射において、IMRTは小腸、骨盤骨への線量低減が可能であり、また意図しない高線領域は制約の工夫により回避できることが明らかとなった。(2)画像誘導下小線源治療萎縮した小さな子宮に発生した子宮頸癌では、A点線量を減らすことにより直腸線量を減らしながら腫瘍制御の最低線量(HR-CTVのD90が5.5-5.8Gy)は維持し、逆に、大きな腫瘍では直腸の耐容線量範囲内(直腸のD2ccを6.0Gy)でA点線量を増加させ、腫瘍に対する治療強度を高めていることが有用であった。また、腫瘍がbulkyで不整な場合、単なるA点線量の増加では近接するリスク臓器の線量も増加させてしまうため、不足分を組織内照射用のニードル針の追加によって補うハイブリッド小線源治療を開発した。
2: おおむね順調に進展している
高精度外部照射、画像誘導下小線源治療について最適化の検討を行うことができた。
次年度は、子宮頸癌のリスク分類を重点的に行う。また、重粒子線治療の検討についても開始する。
当初の計画とリスク分類の検討時期がずれたために繰越金が発生した。子宮頸癌のリスク分類の立案、高精度放射線治療の応用、などについて引き続き検討を行う。生物効果の検討のために、研究試薬を購入する必要がある。必要に応じて生物統計学者との打ち合わせを行うため、謝金や旅費が発生する。
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