研究課題/領域番号 |
23591833
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
大野 達也 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 教授 (10344061)
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研究分担者 |
加藤 真吾 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00370875)
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キーワード | 婦人科腫瘍 / 放射線治療 |
研究概要 |
子宮頸癌に対してA点線量を固定処方する場合と、腫瘍のVolumeを加味してD90処方した場合の比較を行った。52名子宮頸癌患者を標準線量固定群(A点に毎回6Gy処方)とAdaptive線量群(D90処方で6Gy処方)に分けて解析を行った。標準線量固定群ではD90線量は4回の腔内照射中に次第に増加していたが、Adaptive線量群では常に一定線量が投与されていた。両群間の膀胱や直腸のD2cc線量には有意差は認められなかった。特に、治療前に4cmを超える腫瘍や初回腔内照射時の腫瘍容積が35ccを超える場合には、Adaptive線量の方がリスク臓器の線量を安全域にしたまま腫瘍線量を増加させる事が可能である事が明らかとなった。 Bulkyで不整形の婦人科癌に対し、腔内照射と組織内照射併用による「ハイブリッド小線源治療」の有効性について検討した。対象は、定型的な腔内照射では腫瘍に対する線量が不十分と考えられた局所進行婦人科癌13例である。年齢中央値は62歳。子宮頸癌12例(IIIb期10例、IVa期2例)、腟癌1例で、組織型別にはSqが11例、Adが1例、AdSqが1例であった。腫瘍径の中央値は62mm(47-94mm)であった。小線源治療は、腔内照射用アプリケータを挿入した状態でCTを撮影し、線量が不足すると予測される部位に対し金属針を1-数本挿入してCTベースの治療計画を立てた。ハイブリッド小線源治療はのべ39回施行された。患者1人あたりの施行回数は3回(1~4回)であった。治療手技に伴う出血等の合併症はなく、全例で予定の治療を終えた。経過観察期間中央値が20か月の時点で局所再発は2例に認められ、再発部位は直腸浸潤部と体部であった。Grade3以上の膀胱、直腸の有害反応は認められていない。治療室内CTを用いたハイブリッド小線源治療は安全に施行でき、初期効果は良好であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
婦人科腫瘍に対する高精度放射線治療について、これまでIMRT、画像誘導小線源治療について個別化に資する研究成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、子宮頸癌に対する重粒子線治療についての検討ならびに、アプリケータ開発を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
アプリケータ開発、論文作成、情報収集など行う予定である。
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