研究課題
放射線肺臓炎は胸部放射線治療で生じる重篤な有害事象である。喫煙歴や正常肺線量(mean lung doseやV20)など、放射線肺臓炎発症リスクを評価する方法については多くの研究がなされているが、放射線治療計画に際して肺線量を下げる努力をする以外に、肺臓炎の発症予防に確立した方法はない。本研究ではレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の抑制による放射線肺臓炎の予防効果を確かめる。アンギオテンシンII変換酵素阻害剤を用いたレニン-アンギオテンシン系の経路遮断により、ラットの放射線肺臓炎が軽減できると過去に報告されている。しかし、この実験系で投与された体重あたりのカプトプリル量は人間の通常使用量の10倍以上で、臨床的には応用不可能なシステムと言わざるを得ない。また、レニン-アンギオテンシン系の阻害だけでは、ネガティブフィードバックにより数週程度で血漿アルドステロン濃度は抑制されなくなってしまうアルドステロンエスケープ現象が起きることが知られており、臨床的実用性を考えると、この炎症誘発カスケードの下流を阻害するのが適切かつ有効と考えられる。従って、鉱質コルチコイド受容体へのアルドステロン結合を阻害するスピロノラクトンを用いてこの炎症誘発カスケードを阻害して、放射線肺臓炎の予防効果を実験的に確かめるのが本研究の目的である。まず予備実験として、スピロノラクトン投与量の異なるラット肺照射実験を行って、肺障害予防のためのスピロノラクトン至適投与量を決定した。この至適投与量で、放射線照射とスピロノラクトン投与とのタイミングによる効果の違いを確かめるラット肺照射実験を行った。この結果、照射以前から継続的にスピロノラクトンが投与されている場合に、放射線肺障害の発現はスピロノラクトン非存在下と比較して有意に軽減されることが示された。
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