研究課題/領域番号 |
23591839
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀬尾 雄二 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00302000)
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キーワード | がん治療 / 放射線治療 / 効果予測 / LQモデル |
研究概要 |
本研究では放射線生物学的に最適な寡分割照射を施行するために、癌細胞の放射線生存曲線における線量依存性に関与する分子生物学的因子を包括的に探索することを具体的な目的としている。それによって、最適な線量分割を予測できれば新たなタイプのオーダーメイド放射線治療の開発に寄与する可能性があると考えられる。癌細胞の包括的データベースとして、本研究ではNCI-60細胞群を利用している。NCI-60は9種の臓器由来の60種類のヒトがん細胞株である。本年度までに以下の研究を施行した。 1. Linear quadratic (LQ) modelのparameter決定 : 本年度まででNCI-60細胞群のうち、固形腫瘍細胞52種類に対して0-14Gyのγ線照射を行い、Colony-forming assayによって生存率を測定した。各細胞の放射線生存曲線にLQ model を当てはめ、model parametersを決定した。 2. がん遺伝子、がん抑制遺伝子とLQ model parametersとの関連 : 29種類のがん遺伝子もしくはがん抑制遺伝子とLQ model parametersの関連を多変量解析にて分析を行った。これまで認識されていなかった一つのがん抑制遺伝子変異と放射線感受性の関連が同定された。また、回帰木解析を用いてparameter予測法を構築した。 3. マイクロアレイによる遺伝子発現データとLQ model parametersの関連 : 現在、Gene set enrichment analysisを用いてLQ model parametersと関連するgene groupやPathwayの同定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り順調に実験およびデータ解析が進行しており、研究は計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度まででNCI-60細胞群全ての放射線生存曲線の測定を行い、現在データ解析を進行中である。これまでの実験に使用した細胞培養液等が計画した必要量より若干少なかったため、本年度に使用した物品費が計画より低くなり、平成24年度において未使用の直接経費が生じている。今後も、解析データを検証するための細胞照射実験を継続していく予定であり、実験計画に変更の必要は生じていない。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度に未使用の経費は次年度の研究費と合わせ、予定している細胞照射実験の消耗品の購入に使用する予定である。また、研究結果の報告を本年度米国放射線腫瘍学会で発表する。よって使用目的や実験計画の内容に変更はなく、計画通り遂行する予定である。
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