研究課題
本研究の目的は放射線治療・粒子線治療において、従来は危険臓器との位置関係のため根治的線量を照射することが困難であった膵臓癌等の疾患の治療に際して、腫瘍と近接する正常臓器の距離・位置関係を独自開発した吸収性スペーサーを用いて治療時のみ空間創造・可変させ新規に次世代の治療方法を確立することである。計画では、試作段階にあるCreative Vanishing Spacer (CVP)の改良を動物実験によって最適化していくであり、様々な材質のCVPを開発し、比較検討してきた。その中でポリグルコール酸を材料にしたPGAスペーサーをその密度調整することにより、治療期間に応じた吸収率を調整できることを見出した。数種類のCVPに関して、その生体内での毒性をマウス、ラット等の動物実験を行い、癒着の程度評価を詳細に検討してきたが、癒着の程度に関してもPGAスペーサーが最も優れており、PGAスペーサーに関しては密度による癒着の程度に差はなかった。PGAスペーサーに関して血液検査にて毒性の有無を検証したが、スペーサー挿入に伴うと思われる軽度の白血球上昇は認められたが、炎症反応を示すCRPの上昇や、肝機能異常、腎機能異常は認められなかった。PGAスペーサーに陽子線、炭素イオン線、X線をそれぞれ100 Gy照射したが、放射線照射による生化学的組成変化、構造解析は全く認められず、照射後のその性質は安定していると考えられたが、さらに照射の直後にもマウス、ラットの腹部に埋植し、毒性の有無を判定したが、全く毒性は認められなかった。それらの実験データをもとに、GLP準拠の非臨床試験も実施しており、近く臨床試験を行う予定である。
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