研究課題/領域番号 |
23591844
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
原 孝光 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70464542)
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研究分担者 |
岩舘 学 福島県立医科大学, 医学部, 研究員 (00381393)
竹之下 誠一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10167489)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 転移 / 遊走能 / 浸潤能 / 放射線抵抗性 / 動物モデル |
研究実績の概要 |
癌細胞は遺伝子変異を繰り返す事により増殖能、浸潤能、転移能を獲得していく。この為、原発腫瘍内の癌細胞は生物学的に不均一となっており、この不均一集団の中から臓器指向性に転移を行う細胞が選択され転移が起こる事が知られている。この様な背景から原発腫瘍とそこから派生した転移腫瘍は同じ組織型であっても転移先によって遺伝子発現プロファイルは異なり、放射線感受性も変化する事が推測される。以上のことからヒト乳癌細胞においてモデル動物を用いて臓器指向性転移細胞株を樹立し、その遺伝子発現変化と放射線感受性の関連を調べる事により転移能という観点から放射線抵抗性の関連遺伝子を同定することを目的とした。本研究で臓器指向性転移細胞株は遊走能、浸潤能が亢進し放射線抵抗性になることが示唆された。マイクロアレイによる遺伝子発現解析の結果も細胞遊走や浸潤に寄与する遺伝子群の発現が上昇しており実験結果と一致した。また細胞死を抑制する遺伝子群の発現が亢進しているという結果も得られた。これは臓器指向性転移細胞株に放射線照射した後に起こるアポトーシスが親株細胞に比べて抑制されているという実験結果ともよく一致している。以上のことから転移細胞株が親株に比べて放射線抵抗性になる原因の一つとして、腫瘍細胞が転移能を獲得していく段階で細胞死を抑制する機能が亢進されることにより、アポトーシス等の細胞死が抑制されることが示唆された。これらの結果を現在まとめて論文化し投稿準備を進めている。
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