研究課題/領域番号 |
23591849
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
川田 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60234077)
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研究分担者 |
深田 淳一 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50338159)
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キーワード | 幹細胞 / 放射線増感 |
研究概要 |
放射線による増感効果を高める目的として、ATM阻害剤、NBS1阻害剤を使用した。静止期細胞ではATM阻害により誤った修復が起こりやすいことがわかり、また、NBS1阻害でも同様に誤修復の誘導が確認された。ただし、ATM阻害剤よりもNBS1阻害剤では誤修復の頻度が低く、静止期ではATMが重要な役割を果たしていると考えられた。実際、AT細胞にNBS1阻害剤を加えても誤修復頻度には有意な変化は見られなかったが、NBS細胞にATM阻害剤を加えて照射すると、誤修復が増加する現象が見られた。 幹細胞は静止期でいると考えられており本年度は粒子線によるPLDRの欠如の原因を解析した。粒子線ではPLDRが欠損していることが知られているが、X線の場合と異なり静止期でも細胞周期を進行させた場合でも同様な誤修復が見られることが分かり、PLDR欠損の原因であることを示した。また、染色体解析からG0/G1期の染色体異常がG2/M期よりも高いことが本年度の研究から示唆され、粒子線では細胞周期の永久的なG1停止が染色体損傷の程度と相関することが示唆された。また、低線量率照射によるATM異常細胞および正常細胞の染色体損傷から、ATM異常細胞は低線量率でも高頻度に染色体異常が見られたことから、細胞周期進行異常よりも誤修復がAT細胞の異常な放射線感受性の原因と考えられた。来年度は、粒子線に対するATM遺伝子阻害剤、NBS1遺伝子阻害剤の影響も調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究発表、論文作成も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
放射線による増感、細胞周期による放射線感受性、細胞周期によるATM, NBS1阻害剤の効果を来年度は検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
FISH プローブの購入や、海外での研究発表に充てる予定でいる。 未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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