研究概要 |
要旨 FDG-PETでのSUVmaxは病巣集積を示す指標であり、予後因子として注目されている。一方、SUVmaxは撮像機種、腫瘍サイズ、呼吸変動、腫瘍背景等に影響を受ける。誤差要因の補正換算法が確立され、予後予測が可能となれば、肺癌をはじめ多くの癌患者が恩恵を受ける。我々は動体ファントムを用いた実験にて、SUVmaxの腫瘍サイズおよび呼吸変動距離で補正換算式を算出した。実験としては、径10mm, 13mm, 17mm, 22mm, 28mmの5種類の球径の球体を、体軸方向にそれぞれ5mm, 10mm, 20mm, 30mm移動させた場合のカウント値を測定し、それぞれの球体の移動量が0mmの場合のカウント値を1とした場合のカウント値の比率を求めた。体軸方向移動時の補正式は曲線の形状を考慮し、ガウス関数(次式)による近似を試みた。 y=y0+A×exp(-0.5×((x-xc)/w)2) この係数による補正では、17 mm以上の球径に対しては移動量0~20 mmの範囲で誤差10%以内で補正可能であった。13 mm以下の径に関しては,移動量0~5 mmの範囲でしか誤差10%以内で補正することができなかった。 その値を肺癌で体幹部定位放射線治療を受けた患者治療データにて、予後因子となりうるか検証した。その結果、補正前SUVmax、補正SUVmaxは局所制御および無病生存に強い関連を認めた。しかし補正後SUVmaxにてより強い関連性は変化を認めなかった。今回の研究では最も影響が強いと考えられた腫瘍径と頭尾方向の呼吸変動を補正したが、その他の因子についても考慮した補正式を検討する必要があるかもしれない。
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