研究課題/領域番号 |
23591855
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仁尾 正記 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70228138)
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研究分担者 |
和田 基 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80372291)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小腸移植 / 免疫学 / 自然免疫 / マクロファージ |
研究概要 |
小腸移植の長期成績の向上のため、新たな免疫抑制のターゲットとして自然免疫担当細胞であるマクロファージに着目した。今回、フローサイトメトリーを用いて、移植後急性拒絶反応時の腸管マクロファージのサブセットとその性質について解析した。方法:雄性Lewis、Brown-Norwayラットを用い、同系(非拒絶)、異系(拒絶)群で異所性小腸移植を施行した。ラットは移植後1、3、5、7日に犠牲死させ、グラフト回腸を摘出した。グラフト回腸から細胞を採取し、フローサイトメトリーを用いて以下について検討した。(1)ラットマクロファージサブセットとその経時的変化の検討。(2)各サブセットの特徴を検討するため、サイトカイン産生(TNF-α、IL-10、IFN-γ)、ケモカインレセプター発現(CCR2、CX3CR1)の解析(n=3)。これらの結果から、マクロファージ制御療法に適するターゲットを検討した。結果:ED2、ED3発現によって、ED1+マクロファージ中に4つのサブセットが認められた。異系群のED1+マクロファージは、術後5,7日目に同系群より有意に増加し、ED2+マクロファージの割合も、術後7日目に同系群より有意に増加した。各サブセットの特徴は、ED2の発現にかかわらず、ED3+マクロファージはED3-マクロファージよりもTNF-α産生細胞の割合が有意に高かった。IL-10、IFN-γ産生細胞はどのサブセットでも認められなかった。CCR2、CX3CR1発現も、ED2の発現にかかわらずED3+マクロファージでED3-マクロファージよりも高かった。結論:本実験にて、ラット小腸移植後拒絶反応時にED1、ED2、ED3によって定義される4つのマクロファージサブセットが存在することを示した。なかでもED2+ED3+サブセットは拒絶反応時に増加し、急性拒絶反応と強く関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ラット小腸移植後急性拒絶反応モデルを用いて、基礎的なデータや、マクロファージ制御のターゲットとなり得るサブセットの特定やその特徴を解析しえた。 これは、3年の計画において、計画通りにデータを収集しえている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マクロファージ制御に適した薬剤の検討を行っていくが、その候補は、現在までにデータとして得られている。その薬剤をラットモデルへ投与し、拒絶反応、マクロファージへの影響を検討する。 また、これまでの、ないしは今後のデータをまとめ、学会発表や論文掲載へと昇華させていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じたが、大きな計画の変更は伴わない。今年度の研究を効率的に推進したことにより生じた未使用額であり、平成24年度請求額と合わせて、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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