研究課題/領域番号 |
23591857
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
横堀 武彦 群馬大学, 医学部, 助教 (60420098)
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研究分担者 |
宮崎 達也 群馬大学, 医学部, 助教 (70372349)
田中 成岳 群馬大学, 医学部, 助教 (30546726)
桑野 博行 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90186560)
猪瀬 崇徳 群馬大学, 医学部, 助教 (90609968)
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キーワード | 食道 / 培養 / in vitro |
研究概要 |
これまで正常腸上皮の成長と分化を模倣する培養システム構築のため多くの試みがなされていたが非常に困難なことと考えられていた。そのもっとも大きな原因は間質(ニッチ)から取り除かれた腸細胞(幹細胞)は数時間以内にアポトーシスが誘導されることであったが、2009年にマウス腸管から採取した腸管上皮の長期培養法が報告された(Nature2009, Nature medicine2009)。この報告では摘出されたマウス腸管細胞をin vitroで300日以上培養可能であり、しかも培養腸管粘膜は腸管上皮、パネート細胞、杯細胞、神経内分泌細胞など腸管粘膜を構成する細胞へ分化していることも確認している。 現在、内視鏡的治療の発達により早期食道癌に対しては内視鏡的切除術が積極的におこなわれている。しかし腫瘍切除後の食道粘膜欠損部の治癒過程における食道狭窄が臨床において大きな問題となっている。仮に、欠損した食道粘膜を再生食道粘膜で置換することが可能となれば、入院期間の短縮、患者QOLの改善などの成果が期待される。 本研究の目的はマウスで確立された腸管上皮培養法の有用性を検証し、臨床応用に向けてヒト腸管、特に食道粘膜の長期培養法を確立することである。本研究ではまずOotaniらによって報告されたマウス小腸培養法を追試した(Nature medicine2009)。具体的には生後2日以内のマウスより小腸を採取して細断し、その腸管細胞をマトリゲルに包埋して培養した。次にマウス食道を採取し、マウス小腸培養と同様の手技にてマウス食道培養が可能かを検証した。最後に食道癌手術患者の原発巣から十分距離を離した正常食道粘膜を採取しヒト食道粘膜がin vitroで培養可能かを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年、Ootaniらの手法を応用することでマウス、ヒト食道培養が可能であることが検証できた。本年度はヒト培養食道の形態、増殖能を顕微鏡的に観察し、そのヒト移植食道をヌードマウスに移植する実験を行った。しかしヌードマウスの前胃(扁平上皮細胞より構成)に培養食道を移植するも生着は確認できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ培養食道のマウスへの移植実験は有意な結果を出すことができていない。今後の検討項目、改善項目を以下に提示する。 ①移植食道を細胞塊として移植するか、機械的に培養食道を単細胞へ分離し移植するかを検討。 ②ヒト培養食道をヌードマウスに移植する際に、ヌードマウスにわずかに残っている免疫機構が関与していると予想された。現在より免疫機構が抑制されているNOD-SCIDマウス、NOGマウスでの移植実験を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
ヒト食道培養実験を行うために必要な培養メディウム、ウシ血清、各種growth factorの購入に研究費を使用する予定である。また移植実験に使用するNOD-SCIDマウス、NOGマウスの購入も予定している。
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