研究課題
本研究ではOotaniらが報告したマウス小腸管幹細胞の増殖能、多分化能をin vitroで維持することが可能な画期的な手法が、食道扁平上皮でも応用可能かを検証することが目的であった。そのため①Ootaniらの手法がマウスの小腸・大腸以外のマウス食道に応用可能か、②その手法がヒト食道にも応用可能か、以上の2点を研究目標とした。その結果、①本研究で用いた培養手技によりマウス食道をin vitroで長期間培養することが可能であった、②ヒト食道はマウスと同様の培養メディウムでは培養できなかったが、メディウムをES細胞培養メディウムに変更することで30日間、増殖能を保った状態で培養が可能であり、形態学的に食道扁平上皮粘膜層、ケラチンをin vitroで形成していた。培養細胞の増殖能、タンパク発現検証するために切片を作成しKi67、腸管幹細胞マーカーLGR5、ケラチン染色を行った。培養食道の基底層に当たる部位の細胞はKi67を発現しており増殖能は保たれていた。LGR5発現は特異的な染色を認めなかったが、ケラチンは染色され上皮の性質は保っていることが確認できた。本研究の応用として培養食道をマウスへ移植する手技を検討しており、一部の細胞の生着を確認できた。しかし、追試をおこなったが移植食道の切片作成手技、顕微鏡観察が比較的困難であり現在その手技を検討している。今後、再現性を検証するために追試を行っていく方針であるが、現時点で得られたマウス、ヒト食道in vitro培養手技の確立に関する論文を作成し現在、国際英文雑誌に投稿中である。
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