研究課題
腹部大動脈瘤に対するdrug delivery systemの開発に際しての基礎的な知見を得るため,我々はラット腹部大動脈瘤モデルにおけるナノ粒子の特性を検討した.本モデルは瘤作成動物モデルのゴールデンスタンダードであり、ラットの腹部大動脈にエラスターゼを注入して瘤を作成するもので、作成の過程で大動脈壁構造は炎症によりある程度破壊されて「粗」になることが特徴である。臨床的には腹部大動脈瘤も炎症との強い関連が言われており、ナノ粒子が炎症部位により特異的に取り込まれればより効率的な薬剤のdeliverが可能になると思われた。そして蛍光標識されたサイズ調節可能なナノ粒子であるpolyion complex hallow vesicle (PICsome)をラット腹部大動脈瘤モデルに全身投与することにより,ナノ粒子が腹部大動脈瘤に集積することがわかった。測定方法はプロトン核磁気共鳴法、サイズ排除クロマトグラフィー、水系サイズ排除クロマトグラフィーで行い、また検出方法は二次元および三次元in vivo imagingを用いた。PICsomeのサイズや集積時間の検討を加えた結果、その集積性が粒子サイズによって変化すること,及び中膜に集積したナノ粒子が比較的長期間残存することがさらに明らかとなった.これらの知見から,ナノ粒子のうちPICsomeは、腹部大動脈瘤に対するdrug delivery systemの有望な材料であると考えられた.
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