日本人の一般住民における深部静脈血栓症(DVT)の頻度報告はこれまでに無いことから、震災被害の無い全国各地でエコー検査による一般住民のDVT頻度調査を行った行った。対象は新潟市(91人)、新発田市(63人)、横浜市(891人)、栃木県壬生町(273人)、埼玉県おおみや市(145人)、広島市(34人)、佐賀市(14人)の一般住民計1511人とした。市民祭り、健康フェア、学園祭、市民公開講座、学会などにおいてチラシ、広告、ホームページまたは当日の呼び込みで対象者を集めた。ただし新発田市はテレビ、ラジオで広告し、横浜市泉区、瀬谷区においては検査を予約制としあらかじめ区で検査希望者の登録を行って施行した。その結果、新潟市0%(0/91)、新発田市4.8%((3/63)、横浜市栄区2.9%(7/240)、横浜市泉区5.5%(12/220)、横浜市瀬谷区6.0%(15/250)、おおみや市1.4%(2/145)、広島市0%(0/34)、佐賀市7.1%(1/14)、栃木県壬生町4.4%(12/273)であり、全体では3.4%(52/1551)であった。ただしDVTは住民の年齢が高いほど頻度が高く(r=0.79)、またマスコミによるCMや予約制にするなど通知を密にした場合( 5.2%±0.7%)はその場で呼ぶ込んだ場合(2.28±2.9%)より有意に高率であった(p<0.001)。以上のことから日本人における一般住民のDVT頻度は、あらかじめ通知しないでその場で検査した場合と通知を密にした場合で頻度が異なり、年齢の影響を受けることが判明した。したがって検診の方法と対象年齢によって異なるが、日本人の一般住民のDVT頻度は約3%であり、その範囲は2%から5%にあるものと考えられた。
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