研究課題
本研究では臓器移植における拒絶反応や虚血再灌流障害において、生活習慣病の病態形成に関与するAdvanced glycation end products (AGEs) やHigh mobility group box-1 (HMGB-1)等のReceptor for AGE (RAGE) リガンドが及ぼす影響・メカニズムをIn vitroおよびVivoの両面から解析し、RAGEを介した自然免疫機構の制御による臓器移植医療への貢献を目指してきた。まずIn vitroでは、HMGB-1は主としてRAGEを介して単球/マクロファージ上の細胞接着因子の発現を増強させ、サイトカイン産生およびTリンパ球増殖反応を促進させた。そして、Tリンパ球増殖反応はcostimulatory signalに対する抗体療法および抗RAGE抗体によって抑制し得るデータを得た。Vivoでは、肝臓の虚血再灌流障害モデルにおいてHMGB-1の動態・機能を解析し、抗HMGB-1抗体投与による制御を目指した。その結果、肝臓の虚血再灌流によって肝逸脱酵素の高度上昇と組織学的障害と共に、肝細胞にHMGB-1の核内強発現と細胞質へのtranslocationを認めた。そして、抗HMGB-1抗体投与は、肝細胞でのHMGB-1の核内強発現と細胞質へのtranslocation を抑制し、虚血再灌流障害の軽減効果を示した。このように、臓器移植におけるRAGEリガンドを介した自然免疫機構による拒絶反応や虚血再灌流障害の制御に向けた研究データの集積を達成し得た。平成25年度には、上記の研究成果を国内外に向けて学会発表すると共に、In vitroでの研究結果は英文雑誌に採択・発表され、現在はVivoの研究成果を英文雑誌に投稿中である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (26件)
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