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2013 年度 実施状況報告書

ヒト肝再構築シートを用いた肝再生医療の前臨床研究

研究課題

研究課題/領域番号 23591868
研究機関長崎大学

研究代表者

江口 晋  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80404218)

研究分担者 兼松 隆之  長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 名誉教授 (40128004)
キーワード肝細胞 / 細胞シート / 再生医療
研究概要

他の領域(心臓、眼など)に比べて肝臓領域の再生医療は困難を極めており、その発展が待ち望まれている。当科では、肝臓移植に代わる新しい肝再生医療として“細胞シート”に着目し、肝細胞シートによる肝再生医療技術の確立を目指している。平成25年度は、「1. ヒト初代肝細胞/線維芽細胞複合シートにおける肝特異機能発現および微小構造評価」および「2. 免疫不全マウスへの移植効果の検討」を行い、以下の成果を得た。
1. ヒト初代肝細胞/線維芽細胞複合シートにおける肝特異機能発現および微小構造: 温度応答性培養皿(UpCell; セルシード社)にヒト皮膚由来線維芽細胞株をコンフルエントにした。コラゲナーゼ灌流法を用いてヒト初代肝細胞を調製し、線維芽細胞上に接着させ、ヒト初代肝細胞/線維芽細胞複合シートを作製した。肝細胞シートはハンドリング性能が向上し、ほぼ全ての線維芽細胞が上面に遊走した。肝細胞/線維芽細胞複合シートは肝細胞のみで構成された細胞シートと比較して、アルブミン産生活性は1/3程度であったが、血管新生因子であるVEGF、TGFb1、HGFの産生に優れていた。微小構造をTEMで観察したところ、毛細胆管、タイトジャンクション、コネキシンの形成が見られた。さらに、ECMを介して肝細胞と線維芽細胞が接着していた。
2. 免疫不全マウスへの移植効果: 肝細胞/線維芽細胞複合シートを免疫不全マウスの皮下に移植したところ、肝細胞のみで構成された細胞シート移植と比較して高いヒトタンパク質濃度を検出した(2014年3月に開催された再生医療学会で報告)。現在までに、厚みのある皮下肝組織の構築を実証しつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

肝細胞移植のための新しい手法として細胞シートに着目し、本年度は肝細胞/線維芽細胞複合シートの肝特異機能発現および微小構造、その移植効果を評価した。皮下移植において有望な移植効果が見られたものの、皮下に形成された肝組織の免疫染色等を行えなかった。

今後の研究の推進方策

皮下に形成された肝組織の免疫染色、RNA解析を行う。

次年度の研究費の使用計画

免疫不全モデル動物にヒト肝再構築シートを移植し、その効果を免疫染色等で評価、学会発表する予定であった。しかし、ヒト初代肝細胞を利用した細胞シートの移植手技の確立に時間がかかり、移植効果は証明しつつあるものの十分な病理学的評価ができずに未使用額が生じた。
移植後のサンプル解析と学会発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Construction of Liver Tissue in vivo with Preparative Partial Hepatic Irradiation and Growth Stimulus: Investigations of Less Invasive Techniques and Progenitor Cells2013

    • 著者名/発表者名
      Kensuke Miyazaki, Kosho Yamanouchi, Yusuke Sakai, Izumi Yamaguchi, Mitsuhisa Takatsuki, Tamotsu Kuroki, Chandan Guha, and Susumu Eguchi
    • 雑誌名

      Journal of Surgical Research

      巻: 185 (2) ページ: 889-895

    • DOI

      10.1016/j.jss.2013.06.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rapid fabricating technique for multi-layered human hepatic cell sheets by forceful contraction of the fibroblast monolayer2013

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Sakai, Makiko Koike, Hideko Hasegawa, Kosho Yamanouchi, Akihiko Soyama, Mitsuhisa Takatsuki, Tamotsu Kuroki, Kazuo Ohashi, Teruo Okano, and Susumu Eguchi
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 (7) ページ: e70970

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0070970

    • 査読あり
  • [学会発表] 異所性肝組織構築のための再生医療デバイスの創成

    • 著者名/発表者名
      堺裕輔、小池真章子、山之内孝彰、曽山明彦、高槻光寿、黒木保、鵜頭理恵、大橋一夫、岡野光夫、江口晋
    • 学会等名
      第68回日本消化器外科学会総会
    • 発表場所
      宮崎(シーガイアコンベンションセンター)
  • [学会発表] ヒト初代肝細胞/線維芽細胞複合シートが創造する第二の肝臓

    • 著者名/発表者名
      堺裕輔、高槻光寿、江口晋
    • 学会等名
      JDDW2013
    • 発表場所
      東京(グランドプリンスホテル新高輪)
  • [学会発表] 肝移植の代替または再生補助療法としてのヒト肝細胞シートを用いた再生医療デバイスの開発

    • 著者名/発表者名
      高槻光寿、堺裕輔、江口晋
    • 学会等名
      第40回日本肝臓学会西部会
    • 発表場所
      岐阜(長良川国際会議場)
  • [学会発表] ヒト初代肝細胞複合シート移植における支持細胞の種類の効果

    • 著者名/発表者名
      堺裕輔、小池真章子、長谷川英子、山之内孝彰、日高匡章、曽山明彦、高槻光寿、黒木保、岡野光夫、江口晋
    • 学会等名
      第13回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京都(国立京都国際会館)
  • [学会発表] 肝細胞/各種支持細胞共培養シートの構造と機能発現の評価

    • 著者名/発表者名
      小池真章子、堺裕輔、黒木保、江口晋
    • 学会等名
      第13回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      京都(国立京都国際会館)

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公開日: 2015-05-28  

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