研究課題
他の領域(心臓、眼など)に比べて肝臓領域の再生医療は困難を極めており、その発展が待ち望まれている。当科では、肝臓移植に代わる新しい肝再生医療として“細胞シート”に着目し、肝細胞シートによる肝再生医療技術の確立を目指している。1. 最終年度に実施した研究の成果:免疫不全マウス皮下にヒト初代肝細胞/非実質細胞複合シートを移植し、作製された肝組織の免疫染色評価を行った。皮下肝組織は、線維芽細胞に囲まれて肝細胞は生着しており、移植1週間目までに多数の血管が新生された。肝細胞は、グリコーゲン貯蔵、肝特異機能の産生、毛細胆管構築、肝細胞の極性が明らかとなった。2. 研究期間全体を通じて実施した研究の成果:本研究において、外科的に切除された肝癌等の肝組織非癌部から、ヒト初代肝細胞の調製技術を確立した。密度勾配遠心を利用して、80%以上の生存率を維持した。調製肝細胞を温度応答性培養皿上で線維芽細胞と共に培養することにより、良好なハンドリング性能を有する肝細胞複合シート(ヒト肝再構築シート)の作製に成功し、血管新生因子であるVEGFの優れた産生を明らかにした。本技術を利用することによって、皮下に血管ネットワークが再構築された肝組織が生着し、上述の特徴が明らかとなった。
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ALTEX Proceedings
巻: 3 ページ: 44
消化器外科
巻: 37 ページ: 1321-1332