研究課題/領域番号 |
23591870
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
蒲原 英伸 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (90398222)
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研究分担者 |
木下 順弘 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30195341)
鷺島 克之 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40336235)
廣佐古 進 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (70432995)
境 恵祐 熊本大学, 生命科学研究部, 特任助教 (10433038)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | SIRS / TRAIL / TRAIL receptor / Leukocytes / 分子生物学 |
研究概要 |
SIRS(Systemic Inflammatory Response Syndrome)状態にある患者の血液や体液(胸水、腹水、浸出液、尿、痰など)を採取している状態である。今後、TRAILや各種cytokinesの濃度をELISA等により測定を施行していく予定である。現在までに、手術後の血液中と術野の局所に挿入されたdrainからの廃液からleukocytesを分離し、Trizolを用いてRNAまで精製した。TRAILおよびTRAIL受容体(R1,R2,R3,R4)に対するprimersを作製し、術後1日目のTRAILとIL-8の発現をReal-TimePCRにて検証した。炎症局所(胸部・腹部ドレーン廃液)において、有意にIL-8とTRAILのmRNA発現を認め、TRAIL受容体のR2の発現亢進しDecoy受容体のR3が減少していた。健常者から採取した血液から好中球を分離しin vitroで培養すると、TRAILは培養中に排出され、TRAIL-R2が低下し、TRAIL-R3が増加し、アポトーシス感受性が亢進する。このことから、過剰な炎症反応を示す胸部・腹部の局所においてTRAILを主体とした細胞死による白血球の排除機構が存在する可能性がある。今後、炎症が惹起する細胞死としてAutophagyが注目されているが、TRAILも癌細胞や乳管形成にautophagyが関与している(EMBO J,2009, PNAS, 2004)。TRAILによって惹起される好中球を用いて、Autophagy関連蛋白(Atg,L3 etc)の発現を解析し、電子顕微鏡を用いて細胞形態的にautophagyの有無を検証していく。Innate immunityにおけるTRAILのautophagyの意義を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
救急・集中治療領域においてSIRSを呈した患者検体が数多く採取できている。また、Real-time PCR等の測定系が安定しており、現在、大量の解析をしている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
TRAILおよび受容体の発現を制御する遺伝子(microRNA)の網羅的解析を行うために、Sanger InstituteのTarget Scanを用いてTRAILの3’-regionをターゲットとしているmicroRNAを予想する。TRAIL及びTRAIL-Rを発現制御しているTNFalphaやIFNgammaを用いて、In vitroで各種血球系に分化誘導可能な細胞株(HL-60, THP-1など)において、mature miRNA もしくはanistense-oligonuculeotideを用いて細胞内へtransfectionを行い、miRNAのgain of functionもしくはloss of functionの細胞を構築する。その後、TRAILやTRAIL-Rの発現が制御されるか検証し、アポトーシスの誘導などのbiological functionの検証も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
血液から白血球を分離抽出するための試薬購入。TRAIL及びその受容体の蛋白・mRNAの解析のためのかかる試薬・キットの購入。TRAIL発現制御に関するmicroRNA同定のための試薬・キット・array委託等にかかる費用。細胞培養にかかり消耗品の購入。細胞刺激のためのサイカインとその測定のための試薬・キット購入。Apoptosisやautophagy等の機能解析のための試薬・キット購入。Stable cell lineを作製するための試薬・キット購入。研究成果の学会発表および情報収集のたまの学会参加にかかる費用。臨床データベースの整理と統計解析のためのコンピューターとソフト購入。次年度は以上のような内容に関して研究費を使用していく予定である。
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