研究課題/領域番号 |
23591870
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
蒲原 英伸 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (90398222)
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研究分担者 |
木下 順弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (30195341)
鷺島 克之 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40336235)
廣佐古 進 熊本大学, その他の研究科, 助教 (70432995)
境 恵祐 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (10433038)
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キーワード | TRAIL / TRAIL受容体 / SIRS / 細胞死 / Leukocytes / 分子生物学 |
研究概要 |
当ICUは、長時間手術などの過大侵襲を受けた手術後の患者が多い傾向にある。本projectはSIRS状態下における解析とのことで、主に術後のサンプルを用いてきた。胸腔や腹腔ドレーン排液からの白血球からのmRNAの検討から、これまでの結果では手術後のSIRS病態において炎症局所(胸部・腹部ドレーン排液)において、TRAIL-Receptor3の発現が有意に増加し、アポトーシスの制御因子として重要である可能性が示唆された。臨床データとの関連性を含めてTRAIL R3の炎症局所における意義を検証していく。 また、手術後患者以外の種々の重症病態下におけるTRAILの意義について検討するためにも、経時的な患者採血を行って血清と血球に分離しサンプルの集積を図っていく。血球は白血球から好中球および単核球を分離しmRNAを精製する。TRAILおよびその受容体の発現をRT-PCR等にて解析する。血清はTRAILや各種cytokinesの濃度をELISA等により測定を行う。TRAIL-R3の意義について、特に細胞死について、THP-1もしくはHL-60を用いて、necrosis,apoptosis,autophagyとの関連性を検討する、その際、細胞死関連蛋白の発現を検討する。表面蛋白の発現についてはFACSの使用を考慮している。TRAILが生体防御的に作用している報告が散見されるが、In-vitroまたはin-vivoにおいてSIRSやSepsis等の治療的意義があるかどうかrecombinant TRAILの添加実験等による評価を行う。またも臨床データにおけるhigh TRAIL群とLow TRAIL群における比較の中での意義についても検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各疾患における重症病態におけるサンプルが集積されており、自然免疫に関与したサイトカインを測定中である。同時に大量の臨床データとの関連性を統計ソフトを用いて検証いている所である。新たなPCR機器も完備される予定であり、解析のspeed upが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
ICUにおける重症病態下におけるTRAILの意義を明確にするために、各状況下での患者採血を行い、血清と血球に分離する。その際の血球から白血球を分離し、白血球さらには好中球のmRNAを分離し、TRAILおよびその受容体の発現を解析する。これまでの結果ではTRAIL-Receptor3の発現がアポトーシスの制御因子として重要であるので、臨床データとの比較し、biomarkerとなりえるか検証していきたい。この際、FACSによる表面蛋白の発現の検討していく。また、細胞死の分類としてnecrosis,apoptosis,autophagyなど明らかにされてきたが、それらの関連遺伝子の発現との比較を行い、白血球のTRAILがどの細胞死に関わっているか検討していく。TRAILが生体防御的に作用している報告が散見されるが、In-vitroでTHP-1もしくはHL-60を用いてその意義について検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの報告(特に動物実験)において、TRAILが生体防御的に作用している可能性が明らかされている。侵襲下による白血球におけるTRAILおよびTRAIL受容体の発現の動態をより明らかにしていく。これらを遂行するために、血液からの白血球分離試薬、蛋白、遺伝子解析用キット・試薬、また、ベッドサイドにて容易に迅速にmRNAの発現を確認するためのコンパクトなReal Time PCR装置の購入。生体侵襲との関連性を正確に検証するために、サイトカインや細胞死に関わる因子の蛋白・mRNAの解析のためのキット・試薬を購入する。臨床データベースの整理を行うための統計ソフト等の購入する。また、研究成果の発表および情報収集のための国内外での学会参加も予定している。
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