研究課題/領域番号 |
23591874
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80364090)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (70244738)
中森 幹人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10322372)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60448785)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 癌幹細胞 / 樹状細胞 / 癌免疫療法 |
研究概要 |
本研究は、強力な抗原提示能を有する樹状細胞(iPS細胞から誘導)と癌幹細胞を融合させ、樹状細胞表面に未知、既知の特異的抗原を提示させ、効率的に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化することにより、癌幹細胞に対する癌ワクチンを作成し、強力でかつ特異的な癌治療を構築することを目的にして開始した。本年度の研究実績は以下の通りである。1. マウスiPS細胞から樹状細胞(DC)の分化・誘導:マウスiPS細胞を使用し、OP9細胞(正常なM-CSF遺伝子を欠損したop/opマウスに由来する骨髄ストローマ細胞株)をフィーダー細胞として用いてDCへの分化を誘導した。まず、維持培養中のiPS細胞を単層培養しているOP9細胞の上へ播種し、5-6日間培養し、次に、分化した細胞を培養プレートから回収し、新たに準備したOP9細胞上でGM-CSFの存在下で5-6日間培養した。この細胞をさらにGM-CSFの存在下で培養を続け、3-7日目頃より不規則な樹状突起を有する浮遊性の細胞が出現し、それを回収し、これをさらにTNF-α、IL-4、抗CD40刺激抗体、LPS等で刺激し、著明な樹状突起を有した成熟DCを作製した。2. マウスiPS細胞由来DCの解析:作製したDCに対し、アロT 細胞を刺激して増殖誘導する活性(MLR刺激活性) を行い、また、細胞表面にCD11b 、CD80、CD86、MHCクラスI、MHCクラスIIの発現を確認した。3. Balb/cマウスより大腸癌幹細胞の同定、分離:Balb/cマウスより大腸癌幹細胞の同定,、分離を行い、回収した細胞を用いてマウス大腸癌幹細胞の造腫瘍能の検討を行ったが、コントロール群と差がなく、実験系を再検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はマウスiPS細胞から樹状細胞(DC)の分化・誘導に予想外の時間を費やすことになり、また、大腸癌幹細胞の同定、分離が進まなかったため、当初の計画目標、つまり抗腫瘍効果の検討;CTL(cytotoxic T lymphocyte)の誘導、マウス皮下腫瘍モデルの検討にまでは達しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、まず、大腸癌幹細胞の同定、分離が急務である。至適な培養条件を再検討し、幹細胞を作成する。また、マウス大腸癌幹細胞とマウスiPS細胞由来樹状細胞の融合についても、最も効率的で、効果的に抗原を発現する条件を検討する。iPS由来樹状細胞/癌幹細胞融合細胞が完成すれば、CTL誘導、マウス皮下腫瘍モデルの実験系も順調に遂行できると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、本年度と同様に、細胞培養試薬・器具:DMEM試薬・RPMI試薬、10mlピペット、50mlピペット、25cm2細胞培養用フラスコ、15mlコニカルチューブ、50mlコニカルチューブ、20μlチップ、100μlチップなどに最も経費がかかると考えられる。さらに、大腸癌幹細胞の同定、分離に、CD133、CD44などの蛍光標式モノクロナール抗体を用いたmulti-colorによるフローサイトメトリー解析を行い、また、誘導したCTLの解析において各表面マーカーの検索に数種類の抗体が必要であるため、免疫研究試薬、抗体に全体の約30%の経費がかかる見込みである。他、実験動物(Balb/cマウスとBalb/c nu/nuマウス、NOD/SCIDマウス)とcytotoxic assay (4時間51Cr-release assay)には必須であるラジオアイソトープに研究費が費やされる予定である。具体的計画は以下の通りである。1. Balb/cマウスより大腸癌幹細胞の同定、2. マウス大腸癌幹細胞の造腫瘍能の検討、3.マウス大腸癌幹細胞とマウスiPS細胞由来樹状細胞の融合、4.iPS由来樹状細胞/癌幹細胞融合細胞(iPS-DC/CSC-FC)接種Balb/cマウスにおけるCTLの誘導能と誘導されたCTLの解析、5.マウス皮下腫瘍モデルに対するiPS-DC/CSC-FCの抗腫瘍効果に関する検討。
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