研究課題/領域番号 |
23591875
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
篠田 昌宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286499)
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研究分担者 |
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50197513)
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
西山 亮 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70528322)
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キーワード | sRAGE / HMGB1 / 肝虚血再灌流障害モデル / 肝細胞移植 |
研究概要 |
本研究では、国内で2010年より急速に増加している脳死ドナーからの臓器活用拡大を目指し、効果的な肝虚血再灌流障害の治療法を開発する。各種炎症性疾患で治療標的として注目されている核内タンパクHigh mobility group box-1 (以下HMGB1)とその可溶性受容体(sRAGE)に着目し、遺伝子治療、細胞移植、体外循環治療などの特殊技術に絡め、研究・開発を進める。 平成24年度までにHMGB1 A box cDNAを発現するアデノウィルスベクターの作製を行った。具体的にはラット初代培養肝細胞にAdex-Aboxを添加、37℃にて1時間培養し感染を成立させ、培養上清中のAboxをWestern blotにて確認した。次にラット肝虚血再灌流障害モデルの作製に取り掛かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COS-TPC 法を用いて、HMGB1 A boxアデノウィルスベクターはすでに作製し、大量生成しており、同様にsRAGEで行うのみであるが、現時点ではCOS-TPC 法でHMGB1 sRAGE cDNA を組み込んだ組換えアデノウィルスを作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
ラット肝虚血再灌流障害モデルを作成中であり、並行してHMGB1 A boxアデノウィルスベクターと同様にsRAGE産生性肝細胞の作製に取り掛かる予定である。我々はラット急性肝不全モデルでAbox遺伝子導入効果の実験をすでに施行してるため、同様にラット肝虚血再灌流障害モデルでsRAGE遺伝子導入効果の検討を行う。評価項目としては、血漿中GOT、GPT、LDH、IL-1、IL-6、TNFα、HMGB1、sRAGE、肝組織中IL-1、IL-6、TNFα、HMGB1、肝組織H.E光顕像、TUNEL染色、肝生体顕微鏡像、生存率などがあげられる。さらに、ラット肝・小腸虚血再灌流障害モデルにおけるsRAGE産生性肝細胞移植の効果の検討、ラット肝・小腸虚血再灌流障害モデルにおけるsRAGE産生リアクター治療効果の検討、ラット肝移植モデル、小腸移植モデルにおけるsRAGE関連strategyの効果の検討を予定している。さらにはブタ肝移植モデル、小腸移植モデルにおけるsRAGE遺伝子導入効果も検討しており、臨床応用のためには大動物で結果が得られることが重要であると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費に関しては当研究室所有の物品を使用したため、当該年度の使用額はなく、また、旅費に関しても、当該研究費から使用しなかったため、繰越額が生じた。次年度はsRAGE大量生産の費用の他、ラット、ブタ等の購入費用が必要である。実際に移植を行うため、移植に必要な各種器具、人件費等についても検討している。また、国内外の学会発表のための旅費、共同研究者との通信費なども必要であると考えられる。
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