研究概要 |
○ 動物実験系 〈実験系〉BALB/c♀マウス7週齢の腹腔内にマウスサイトメガロウイルス(MCMV、Smith株)を感染させた(1500pfu/マウス)。感染4週後には唾液腺、乳腺、脾臓、肺には感染性ウイルスは存在しておらず潜伏感染が成立していることを確認した。このMCMV感染4週マウスにBALB/c♂及びC57BL/6♂を交配した。 〈結果〉BALB/c♂マウスと交配させた群(n=10)では出産5,10,15日のいずれの母乳から8,000-20,000コピー/mlのMCMVが検出された。同様に出産後の尿中にもMCMVの排出が認められた。さらに仔マウスは立毛、運動低下などのMCMV感染の症状が認められた。そこで、仔マウスの唾液腺、肺、肝臓でのMCM値をリアルタイムPCR法にて測定したところ103-104 PFU/mg のウイルスが検出され仔マウスでは急性のMCMV感染症が成立していることが明らかとなった一方、C57BL/6♂マウスと交配させた群でも出産5,10,15日のいずれの母乳からMCMVが検出されたがウイルス価は6,000-15,000コピー/mlとBALB/c♂マウスと交配させた群と比較し、ウイルス価は有意に低値を示していた。また尿中へのMCMV排出は認められなかった。さらにMCMV潜伏BALB/c♀マウスとBALB/c♂マウスを交配させ、出生後1時間以内に新生児マウスをMCMV非感染BALB/c♀マウスの母乳にて飼育したところ仔マウスにはMCMVは検出されなかった。これにより仔マウスへの感染ルートは経胎盤ではなく経母乳であることがわかった。 〈結論〉妊娠、出産に伴う変化によりMCMVが再活性化することが明らかになった。即ち、CMV再活性化には免疫抑制やアロ抗原刺激が関与していないことが示唆された。
|