研究課題
今年度もラット肝移植モデルを用いた研究を継続している。ラット肝移植の手技を確立し、さらに簡便で現実的な肝動脈再建法を開発し、確実で簡便な方法でラット肝臓移植をおこなっている。ラット肝臓移植における肝動脈再建は、同系移植では移植肝臓の虚血再灌流障害を軽減し、さらいにBN-LEWラット間の同種移植では急性並びに慢性拒絶反応を抑制することから、肝移植の際の肝動脈の再建は、長期の移植肝臓を生着させるのに重要であることを明らかにした。学会発表後に論文を作成し報告した (Transplant Proc 45:1748-1753, 2013)。ラット肝臓移植を用いて、肝臓移植後の拒絶反応の病理学的解析を進め、肝臓移植では詳細が明らかではない慢性抗体関連型拒絶反応の病理学的特徴を解析し、IgGは早期から門脈、冠動脈、細胆管、ジヌソイドや肝細胞に反応し、それらの障害による慢性線維化を誘導することを報告した (Transplant Proc 45:1743-1747, 2013) 。これらの検討は、肝移植での免疫寛容獲得の際の特異的な免疫応答の検討には重要である。また、2013年のヨーロッパ移植学会(ESOT2013, Vienna)でDAからLewラットへの肝臓移植後の急性拒絶反応の際にみられる移植臓器内での免疫応答を制御するmicroRNA(miRNA)の特徴を網羅的に検討した。拒絶反応の過程で、193個のmiRMAsに増減がみられ、炎症に関連することが知られているmiR-146b、miR-223、miR-181、miR-34a、miR-326、miR-21の増加と、miR-150、miR-125b、miR-20aの減少が認められ、肝臓移植の拒絶反応には炎症に関わるmiRNAsが関与していることを明らかにし、論文を作成中である。また、DAからPVGラットへの免疫寛容を獲得する際にみられる炎症細胞浸潤の特徴について、Tregの動態を含め発表し、論文への作成を進めている。さらに、肝臓移植後の免疫寛容獲得の機序の解明と、末梢血中にみられるバイオマーカーの探索を中心に研究を進めている。
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日腎会誌
巻: 55 ページ: 125-132
PMID: 23631299
Transplant Proc
巻: 45 ページ: 1748-1753
巻: 45 ページ: 1743-1747