研究課題/領域番号 |
23591884
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
松岡 信秀 福岡大学, 医学部, 助教 (40461503)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膵島移植 / 移植膵島障害 / NKT細胞 / アンチトロンビン / トロンボモヂュリン |
研究概要 |
臨床膵島移植の現在の最も重要な課題は一人のインスリン依存糖尿病レシピエントの治療に2-3回の膵島移植、すなわち2-3人分のドナーを必要とする非効率性が上げられる。この課題は膵島移植特有の問題で、現在までの我々の研究成果で移植後早期(24時間以内)に発現する自然免疫共絶反応による移植膵島細胞死に起因していることが判明している。本研究ではこの自然免疫拒絶反応が血液凝固関連製剤により制御できるか検討し、以下の結果を得た。平成23年度はマウス膵島移植のin vivo実験系を用いて、臨床使用されている全ての血液凝固関連製剤について、自然免疫拒絶反応による移植早期(24時間以内)膵島障害を制御できるかどうか検証した。その結果、アンチトロンビンIII(ATIII)の移植時単回投与で1匹のマウスより単離できる膵島数(200)の経門脈的肝内移植でSTZ糖尿病マウスの血糖が正常化することが判明した。対照群はいずれも高血糖で推移した。機序を解明するために移植局所の肝臓より単核球を単離し、FACSで解析した。その結果、ATIII投与群で膵島移植を受けた肝臓単核球で自然免疫拒絶反応に必須の役割を担っているNKT細胞、好中球のIFN-γ産生が抑制されていることが判明した。更に、HMGB1との関連性に於いて、ATIIIはHMGB1刺激によるNKT細胞、好中球のIFN-γ産生を抑制した。これらの所見はATIIIが移植後膵島より放出されるHMGB1の作用を抑制し、移植膵島障害を軽減していることを示している。この知見は臨床膵島移植にとって極めて有用で、Transplantationに投稿し、採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATIIIについては投稿が完了し、すでに論文がTransplantationに採択されており、研究目的はおおむね達成されていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は他の血液凝固製剤(トロンボモヂュリン、FOY)の移植膵島障害制御作用について検討する。研究遂行上の問題はなく、支障なく遂行できると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
。本研究課題を遂行するに際して設備備品は全て現有しており、新たな購入はない。動物実験に必要な経費、ならびに旅費を以下の如く使用予定である。消耗品費:実験動物(マウス)50万円、膵島単離、移植用試薬 10万円、FACS試薬 10万円国内旅費:研究打ち合わせ(理化学研究所 横浜)2回、15万円外国旅費:研究打ち合わせ(米国ロスアンジェルスCity of Hope 研究所、5泊7日)35万円
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