研究課題/領域番号 |
23591886
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
小野 聡 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (30531355)
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研究分担者 |
辻本 広紀 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (80554998)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 助教 (30531636)
長谷 和生 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (50511268)
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 教授 (90531632)
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キーワード | 制御性T細胞 / sepsis / IL-10 / TGF-β / エンドトキシン吸着療法 |
研究概要 |
今回は重症感染症の病態形成、特に免疫不全の病態を明らかにするため、CD4+T細胞、特に制御性T細胞:Treg (CD4+CD25+Foxp3+))などの獲得免疫能に注目し、それら免疫担当細胞の役割と敗血症性ショックの治療として行われているエンドトキシン吸着療法(PMX)による免疫不全への影響について検討した。「方法と結果」検討1:腹部外科感染症32症例を対象に、末梢血中白血球分画、CD4+T細胞、Treg細胞、CD8+T細胞、血中IL-6, IL-10, TGF-β濃度について測定した。その結果、septic shock症例では非shock症例に比べ、CD4+T細胞数が有意に少なくTreg細胞の割合(Treg/CD4+T)やIL-6, IL-10濃度は有意に高値であった。検討2.PMX(2時間)が施行されたseptic shock 13症例を対象にPMX終了直後、24時間後の上記マーカーについて検討した。その結果、PMX終了直後では開始前に比べ、Treg細胞数とIL-6、IL-10の有意な低下を認めた。さらに生存群(8例)と死亡群(5例)に分けPMX終了時、24時間後の変化について比較すると、終了時では両群間で差を認めなかったが、24時間後は生存群でCD4+T細胞数の有意な改善を認めたのに対し、死亡群では改善せずTregの割合とIL-10の有意な増加を認めた。 したがって、腹部外科感染症が原因の敗血症の免疫不全の病態には、Treg細胞が重要な役割を果たし、PMX療法により、Treg細胞や血中IL-6, IL-10濃度の低下を認めた。尚、PMX終了24時間後のCD4+T細胞やTregの割合は敗血症性ショック症例の予後を反映し、24時間後のPMX再施行は予後不良例救命の一助になる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外科的侵襲時、特に重症感染症時の免疫不全の病態と制御性T細胞との関連について、動物実験はもとより、臨床検体を用いた解析が順調に進みSurgeryにacceptされた。
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今後の研究の推進方策 |
外科侵襲後の免疫不全の病態が腫瘍免疫に及ぼす影響について、現在マウスを用いた肝転移モデルを用いて検討中である。外科侵襲後の腫瘍側の免疫機能の変化だけではなく肝臓の免疫機能についても解析中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
外科侵襲後のマウス肝転移モデルにおける腫瘍免疫、肝免疫の解析に研究費を使用する。
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